直腸癌術後の縫合不全に対しドレーンにより遷延性に治癒を認めた1例

直腸癌術後の縫合不全に対しドレーンにより保存的に治癒を認めたが,治癒までの期間が遷延した症例を経験した.本症例を通し,縫合不全発生時のドレーンの役割を再考し報告する.症例は60歳台男性.直腸癌cStageIIIaと診断し腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.経腹的ドレーンを留置し閉鎖吸引式ドレナージとした.術後3日目に発熱,ドレーン性状が腸管内容性に変化し縫合不全と診断した.ドレナージ良好と判断,腸管安静や抗菌薬投与を行い保存的に治療した.経時的に瘻孔は限局化し,術後50日目に退院した.以降の通院中,瘻孔が慢性化し血糖調節が不安定化した.術後99日目に骨盤内膿瘍をきたしCTガイド下ドレナージを施行...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 4; pp. 185 - 190
Main Authors 長谷川, 芙美, 菊川, 利奈, 力山, 敏樹, 宮倉, 安幸, 柿澤, 奈緒, 辻仲, 眞康, 前本, 遼, 石川, 英樹, 田巻, 佐和子, 高橋, 洵, 町田, 枝里華
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2019
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.72.185

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Summary:直腸癌術後の縫合不全に対しドレーンにより保存的に治癒を認めたが,治癒までの期間が遷延した症例を経験した.本症例を通し,縫合不全発生時のドレーンの役割を再考し報告する.症例は60歳台男性.直腸癌cStageIIIaと診断し腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.経腹的ドレーンを留置し閉鎖吸引式ドレナージとした.術後3日目に発熱,ドレーン性状が腸管内容性に変化し縫合不全と診断した.ドレナージ良好と判断,腸管安静や抗菌薬投与を行い保存的に治療した.経時的に瘻孔は限局化し,術後50日目に退院した.以降の通院中,瘻孔が慢性化し血糖調節が不安定化した.術後99日目に骨盤内膿瘍をきたしCTガイド下ドレナージを施行,術後156日目に瘻孔造影にて治癒を確認した.本症例は,ドレーンにより保存的に治癒を認めたものの,治療期間が遷延した.縫合不全の予防や治療におけるドレーンの有用性と限界を熟知しておくことが重要である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.72.185