脳卒中様発作急性期の頭痛発作に対してL-アルギニンが無効でミダゾラムが有効であったMELASの1例

症例は14歳女性である.初診時,高度の拍動性頭痛を主訴に来院した.左後頭葉の頭部MRI異常所見と遺伝子検査などから,mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes(MELAS)の脳卒中様発作と診断した.脳波では左後頭部に周期性鋭波をみとめた.頭痛はL-アルギニン(L-Arg)静注後も遷延したが,ミダゾラム(MDZ)の持続投与後に脳波異常とともに改善した.17歳時と18歳時に再発し,L-Argが無効であったためふたたびMDZを投与したところ,頭痛と脳波異常は同様に改善した.MDZが...

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Published in臨床神経学 Vol. 54; no. 11; pp. 882 - 887
Main Authors 横井, 聡, 長谷川, 康博, 寳珠山, 稔, 安井, 敬三, 柳, 務, 辻河, 高陽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2014
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.54.882

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Summary:症例は14歳女性である.初診時,高度の拍動性頭痛を主訴に来院した.左後頭葉の頭部MRI異常所見と遺伝子検査などから,mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes(MELAS)の脳卒中様発作と診断した.脳波では左後頭部に周期性鋭波をみとめた.頭痛はL-アルギニン(L-Arg)静注後も遷延したが,ミダゾラム(MDZ)の持続投与後に脳波異常とともに改善した.17歳時と18歳時に再発し,L-Argが無効であったためふたたびMDZを投与したところ,頭痛と脳波異常は同様に改善した.MDZが神経細胞の過剰興奮性や三叉神経血管系の活性化などを抑制し,頭痛を改善させたと考えられる.L-Arg静注が無効であるMELASの頭痛に対してMDZの投与を考慮すべきである.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.54.882