供血者における血清トランスアミナーゼ活性異常者の実態
供血者に対するB型肝炎ウイルス(HBV)マーカーの免疫血清学的検査が広く実施されるようになった結果, 輸血後B型肝炎そのものの発生率は著しく減少し大きな成果をあげている. しかしながら, 輸血後肝炎の発生率は依然として高い状況下にあって, いわゆる非A非B型肝炎の起る事例の多いことが十分認識されている. しかし, 本ウイルスの本態はまだ分離, 同定されていないため, ウイルスの性状はもちろん疫学, 臨床, 予防および, 治療法に関して科学的根拠に立脚したウイルス指向型の対応が確立されていない. したがって, 現時点では非A非B型肝炎の診断はA型およびB型肝炎, そして肝炎を惹起しうる可能性のあ...
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| Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 110 - 116 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
1985
日本輸血学会 |
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| ISSN | 0546-1448 1883-8383 |
| DOI | 10.3925/jjtc1958.31.110 |
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| Summary: | 供血者に対するB型肝炎ウイルス(HBV)マーカーの免疫血清学的検査が広く実施されるようになった結果, 輸血後B型肝炎そのものの発生率は著しく減少し大きな成果をあげている. しかしながら, 輸血後肝炎の発生率は依然として高い状況下にあって, いわゆる非A非B型肝炎の起る事例の多いことが十分認識されている. しかし, 本ウイルスの本態はまだ分離, 同定されていないため, ウイルスの性状はもちろん疫学, 臨床, 予防および, 治療法に関して科学的根拠に立脚したウイルス指向型の対応が確立されていない. したがって, 現時点では非A非B型肝炎の診断はA型およびB型肝炎, そして肝炎を惹起しうる可能性のある既知ウイルスの除外診断に頼らざるを得ないため, 輸血を介しての非A非B型肝炎ウイルスの感染の予防としては, 供血者のスクリーニングに際して血清トランスアミナーゼが正常範囲内にあって, 一応肝障害がないと判断される外見上健康な供血者から得られる血液を輸血に使用することが最善の方法となっている. 著者らは, 日本大学板橋病院輸血室における外見上健康供血者を対象にしてトランスアミナーゼを中心とした血液生化学的検査異常者の実態についてretrospectiveに検討を行なって示唆に富む知見が得られたので報告する. |
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| ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
| DOI: | 10.3925/jjtc1958.31.110 |