腹腔鏡補助下結腸全摘術を施行した特発性腸間膜静脈硬化症の1例

患者は40年以上と漢方の長期内服歴のある64歳女性で,特発性腸間膜静脈硬化症(以下IMPと略記)の診断で9年間経過観察を行っていた.今回施行した逆行性注腸造影検査で大腸全長にわたり壁硬化があり,特に上行結腸の鉛管状変化を認めた.下部消化管内視鏡では大腸全長にわたり暗紫色の粘膜を認め,特に上行結腸から横行結腸では内腔の狭小化があった.経過観察中に病変の進行を認めること,腸閉塞症状を繰り返し起こすことから手術目的に当科紹介となり,腹腔鏡補助下結腸全摘術および回腸直腸吻合術を施行した.術後経過は順調で術後16日で退院,その後症状は消失した.IMPは結腸壁および腸間膜の静脈の石灰化を特徴とし腸管の血液...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 65; no. 7; pp. 369 - 375
Main Authors 松本, 主之, 水内, 祐介, 真鍋, 達也, 田中, 雅夫, 植木, 隆, 平橋, 美奈子, 中村, 昌太郎, 宮崎, 正史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2012
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.65.369

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Summary:患者は40年以上と漢方の長期内服歴のある64歳女性で,特発性腸間膜静脈硬化症(以下IMPと略記)の診断で9年間経過観察を行っていた.今回施行した逆行性注腸造影検査で大腸全長にわたり壁硬化があり,特に上行結腸の鉛管状変化を認めた.下部消化管内視鏡では大腸全長にわたり暗紫色の粘膜を認め,特に上行結腸から横行結腸では内腔の狭小化があった.経過観察中に病変の進行を認めること,腸閉塞症状を繰り返し起こすことから手術目的に当科紹介となり,腹腔鏡補助下結腸全摘術および回腸直腸吻合術を施行した.術後経過は順調で術後16日で退院,その後症状は消失した.IMPは結腸壁および腸間膜の静脈の石灰化を特徴とし腸管の血液還流異常が原因とされる疾患である.本症例では同じく漢方の内服歴のある夫も同症を発症しており,漢方薬の長期内服が原因の一つとして考えられた.IMPに対して腹腔鏡補助下に切除を行った症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.65.369