MRI拡散強調画像にて髄膜に高信号域をみとめたWegener肉芽腫症による軟膜・硬膜炎の1例

症例は65歳の女性である.52歳時に発熱と肺腫瘤で発症し,肺生検でWegener肉芽腫症と診断され,ステロイド治療で経過は良好であった.車の運転の仕方がわからない,自宅に閉じこもるなどの行動異常が出現し,当科を受診した.神経心理検査では,前頭葉機能障害,記憶障害,漢字の失書をみとめた.髄液検査は正常で,血清proteinase3 anti-neutrophil cytoplasmic antibodyは上昇していた.頭部MRIでは,左大脳半球のくも膜下腔と硬膜下腔に拡散強調画像高信号病変をみとめた.これまでにWegener肉芽腫の髄膜病変がMRI拡散強調画像で高信号を呈した報告はなく,本例の拡...

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Published in臨床神経学 Vol. 54; no. 11; pp. 888 - 891
Main Authors 冨本, 秀和, 伊藤, 愛, 朝日, 理, 佐々木, 良元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2014
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.54.888

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Summary:症例は65歳の女性である.52歳時に発熱と肺腫瘤で発症し,肺生検でWegener肉芽腫症と診断され,ステロイド治療で経過は良好であった.車の運転の仕方がわからない,自宅に閉じこもるなどの行動異常が出現し,当科を受診した.神経心理検査では,前頭葉機能障害,記憶障害,漢字の失書をみとめた.髄液検査は正常で,血清proteinase3 anti-neutrophil cytoplasmic antibodyは上昇していた.頭部MRIでは,左大脳半球のくも膜下腔と硬膜下腔に拡散強調画像高信号病変をみとめた.これまでにWegener肉芽腫の髄膜病変がMRI拡散強調画像で高信号を呈した報告はなく,本例の拡散強調画像高信号病変は壊死性肉芽腫を反映していると考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.54.888