腹腔鏡下食道空腸overlap吻合後に吻合部通過障害を来し挙上空腸盲端の拡張を呈した1例

症例は68歳の女性で,食道胃接合部癌に対して腹腔鏡下胃全摘術,D2郭清,Roux-en-Y再建を施行した.食道空腸吻合はリニアステープラーによるoverlap吻合とした.術後2か月より頻回に嘔吐が出現し,上部消化管内視鏡検査で挙上空腸の狭小化と盲端の拡張を認めた.吻合部のねじれや癒着が原因となり吻合部通過障害を来し,挙上空腸盲端が拡張することでねじれが増長し,通過障害を増悪させたと考え,術後5か月目に腹腔鏡下挙上空腸盲端切除術,吻合部ステント留置を施行した.その後の経過は良好で,経口摂取が可能になった.Overlap法は他の食道空腸吻合法と比べて吻合部狭窄の頻度が低く有用な吻合法であるが,吻合...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 8; pp. 427 - 433
Main Authors 金古 裕之, 真木 健裕, 蔦保 暁生, 平野 聡, 石井 佑, 近江 亮, 立野 正敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2024.0038

Cover

More Information
Summary:症例は68歳の女性で,食道胃接合部癌に対して腹腔鏡下胃全摘術,D2郭清,Roux-en-Y再建を施行した.食道空腸吻合はリニアステープラーによるoverlap吻合とした.術後2か月より頻回に嘔吐が出現し,上部消化管内視鏡検査で挙上空腸の狭小化と盲端の拡張を認めた.吻合部のねじれや癒着が原因となり吻合部通過障害を来し,挙上空腸盲端が拡張することでねじれが増長し,通過障害を増悪させたと考え,術後5か月目に腹腔鏡下挙上空腸盲端切除術,吻合部ステント留置を施行した.その後の経過は良好で,経口摂取が可能になった.Overlap法は他の食道空腸吻合法と比べて吻合部狭窄の頻度が低く有用な吻合法であるが,吻合部の通過障害による挙上空腸盲端の拡張を呈し,挙上空腸盲端切除が有効であった症例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0038