コロナ渦における当院での新たな症例検討の在り方−コミュニケーションツールとしてのチャット機能の利用

【はじめに,目的】理学療法士が専門職としてその社会的地位を確立するためには,高い自律性と倫理観,社会のニーズを察して要請に応える態度,社会が必要とする新たな情報や解決策の創造と実践が重要であると言われている.このためには個々人の継続した知識・技術の向上(生涯学習)に対する意欲と利他的奉仕の精神が不可欠である.厚生労働省が提言している「働き方改革」や新型コロナウイルス感染拡大により,従来の院内研修の実施が困難となり,業務時間内外の使い方の工夫,見直しが必要になっている.その中,多忙や定時退社等でスタッフ間のコミュニケーションが不足しつつあることは周知の事実である.今回,電子カルテ上のチャット機能...

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Published inKyushu physical therapist Congress Vol. 2022; p. 80
Main Authors 豊田, 正樹, 上村, 龍輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会 2022
Kyushu Physical Therapy Association
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ISSN2434-3889
DOI10.32298/kyushupt.2022.0_80

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Summary:【はじめに,目的】理学療法士が専門職としてその社会的地位を確立するためには,高い自律性と倫理観,社会のニーズを察して要請に応える態度,社会が必要とする新たな情報や解決策の創造と実践が重要であると言われている.このためには個々人の継続した知識・技術の向上(生涯学習)に対する意欲と利他的奉仕の精神が不可欠である.厚生労働省が提言している「働き方改革」や新型コロナウイルス感染拡大により,従来の院内研修の実施が困難となり,業務時間内外の使い方の工夫,見直しが必要になっている.その中,多忙や定時退社等でスタッフ間のコミュニケーションが不足しつつあることは周知の事実である.今回,電子カルテ上のチャット機能を利用し症例検討会を行うことで①スタッフ間のコミュニケーションの確保,②効率的かつ有意義な時間の使い方③医療の質の向上を図った.【方法】運用方法は電子カルテ上のチャット機能を利用し,持ち回りで症例検討を実施(月2回).急性期病棟・地域包括ケア病棟・回復期病棟・通所リハ・訪問リハに所属する理学療法士20名が疾患を問わず1症例をパワーポイントにまとめチャットに投稿.資料作成には業務時間内に1時間設け,その時間内で作成可能な内容とした.ディスカッション期間を2週間と設定し,1発表に対し1人ファシリテーターを指定した.【結果】2021年9月より運用開始.2022年3月までに10症例の報告があり,1症例に対し10~20程度の質問や助言が行われた.12月にアンケート調査を実施し,運用の見直しを図った.【考察】対面での症例検討と比較し,ディスカッションする期間が長くなったことで質問の数が増えた.また,質問に対する回答にも時間の猶予があったため回答者の心理的負担が軽減された.当院では急性期から在宅まで病期毎に分かれており,前方・後方連携の際の情報共有や振り返り,代行で介入する際の情報共有としてのツールとして利用できたと考える.一方で,活発なディスカッションはあったものの発言者に偏りがみられ,意見が多くなると見る側の情報の処理が追い付かないとの意見も出た.【結論】今後の展望として,チャット機能を利用した症例検討会を継続しつつ,対面でのディスカッションを必要とする声も多いため,リモート等を利用したタイムリーな研修も模索する必要がある.また,今回の症例検討は持ち回りで半ば強制的に始めたものであり,負担に感じるスタッフもいたことから,2022年度以降の開催に関しては事前にアンケート調査を行い,発表者を選定していく.今回新たな取り組みとして,チャット機能を活用したことで症例検討だけでなく,個々人の考え方や治療内容の共有,ディスカッションした内容をきっかけにコミュニケーションツールの拡大を図ることができたと考える.【倫理的配慮,利益相反】本研究は,済生会みすみ病院倫理審査委員会の承認を受けて実施した.
Bibliography:P-08
ISSN:2434-3889
DOI:10.32298/kyushupt.2022.0_80