入院高齢心不全患者の運動耐容能の回復に影響する因子の検討

【背景】心不全患者は,増悪と緩解を繰り返すとともに,運動耐容能も低下と回復を繰り返すが,高齢者においては増悪による入院後に運動耐容能が十分に回復しないケースがある。しかし,運動耐容能が回復しない入院高齢心不全患者の特徴は明らかになっていない。この特徴を介入早期に把握することが可能であれば,運動耐容能の回復を目指すにあたって,適切な介入手段の立案に繋がるのではないかと考える。本研究の目的は,入院高齢心不全患者の運動耐容能の回復が困難な患者のリハビリ介入早期の特徴を明らかにすることである。【方法】本研究は,2017 年1 月1 日から2020 年12 月31 日に急性心不全,慢性心不全急性増悪によ...

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Published inKyushu physical therapist Congress Vol. 2021; p. 59
Main Authors 川上, 幸輝, 久毛, 勇樹, 山下, 潤一郎, 中尾, 優子, 吉武, 孝敏, 片岡, 英樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会 2021
Kyushu Physical Therapy Association
Subjects
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ISSN2434-3889
DOI10.32298/kyushupt.2021.0_59

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Summary:【背景】心不全患者は,増悪と緩解を繰り返すとともに,運動耐容能も低下と回復を繰り返すが,高齢者においては増悪による入院後に運動耐容能が十分に回復しないケースがある。しかし,運動耐容能が回復しない入院高齢心不全患者の特徴は明らかになっていない。この特徴を介入早期に把握することが可能であれば,運動耐容能の回復を目指すにあたって,適切な介入手段の立案に繋がるのではないかと考える。本研究の目的は,入院高齢心不全患者の運動耐容能の回復が困難な患者のリハビリ介入早期の特徴を明らかにすることである。【方法】本研究は,2017 年1 月1 日から2020 年12 月31 日に急性心不全,慢性心不全急性増悪により入院加療が必要となった65 歳以上の者を対象としたRetrospective Study である。除外基準は,入院中に死亡した症例,外科手術が必要となり転院した症例,運動機能や質問紙評価が不可能であった症例とした。診療録より,患者背景,入院時の検査所見,リハビリテーション(以下,リハ)開始時の運動機能,認知機能,情動面,QOL を調査した。運動耐容能は6 分間歩行距離(以下,6MWD)で評価しており,測定はAmericanThoracic Society のガイドラインに準じて行った。リハ開始時の測定に関しては,European Journal of Heart Failure の運動負荷試験,運動療法を進めるためのフローチャートを参考に,離床開始後から早期運動に耐えられていること,運動負荷試験絶対禁忌に当てはまらないことが確認できれば実施した。退院時の測定に関しては,退院日以前の3 日以内に実施した。分析として,運動耐容能の回復が困難な対象者の特徴を明らかにするため,6MWD のMCID である45m を基準にリハ開始時から退院時までに6MWD が45m 以上変化した対象者を回復群,45m 未満の変化であった対象者を非回復群として各調査項目をWilcoxon rank sum test , Fischer の正確確率検定を用いて比較した。そして,統計学的に有意な差を認めた項目を独立変数とし,ロジスティック回帰分析を行った。なお,交絡因子として年齢,身長,性別を共変量に含み解析を行った。データは中央値[四分位範囲]あるいは件数(百分率)で示し,統計学的有意水準は5% とした。【結果】対象は,除外基準にあてはまらない95 例であり,年齢は中央値85[87-79]歳,男性が54 例(55.7%),EF は中央値57.1[62.5-39.0]% であった。6MWD回復群は44 例(46.3%),非回復群は51 例(53.7%)であった。非回復群は回復群に比べ, 年齢(87[89-81] vs82[87-78] 歳,p【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,当院倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:2021-01)。研究の実施に際し,対象者に研究について十分な説明を行い,同意を得た。また本研究における利益相反はない。
ISSN:2434-3889
DOI:10.32298/kyushupt.2021.0_59