末端封止ポリアリレート樹脂から耐熱・透明プラスチック光ファイバーの試作

ビスフェノールAと塩化イソおよびテレフタロイルから合成したポリアリレート:PARは耐熱性に優れた樹脂として知られているが,溶融時の流動性が低いため,高温成形が必要で,その結果,淡黄色に着色し,レンズなどの光学材料として使用されて来なかった.本研究では,その着色劣化はPAR分子鎖末端のフェノール性ヒドロキシル基が高温下で空気酸化されて生成したフェノキシラジカルに起因し,さらにその着色抑制にはPAR合成時にそのヒドロキシル基を塩化ベンゾイル:BCでエステル化(これを末端封止:ECと呼ぶ)するか,合成後のポリマー末端をBCで封止するとその酸化が抑制され,優れた耐熱透明樹脂:PARECとなることを見い...

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Published in高分子論文集 Vol. 69; no. 6; pp. 274 - 282
Main Authors 竹中, 康, 田畑, 昌祥, 山﨑, 隆喜, 西野, 駐, 大塚, 一彦, 中嶋, 宏紀, 馬渡, 康輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2012
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.69.274

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Summary:ビスフェノールAと塩化イソおよびテレフタロイルから合成したポリアリレート:PARは耐熱性に優れた樹脂として知られているが,溶融時の流動性が低いため,高温成形が必要で,その結果,淡黄色に着色し,レンズなどの光学材料として使用されて来なかった.本研究では,その着色劣化はPAR分子鎖末端のフェノール性ヒドロキシル基が高温下で空気酸化されて生成したフェノキシラジカルに起因し,さらにその着色抑制にはPAR合成時にそのヒドロキシル基を塩化ベンゾイル:BCでエステル化(これを末端封止:ECと呼ぶ)するか,合成後のポリマー末端をBCで封止するとその酸化が抑制され,優れた耐熱透明樹脂:PARECとなることを見いだした.このPARECを使用し,耐熱透明プラスチック光ファイバー(POF)の試作にも成功した.したがって,このPOFは耐熱性が要求される自動車や航空機などの移動体通信ケーブルに新展開できる可能性がある.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.69.274