コラーゲン-アドレナリン誘発肺血栓塞栓症マウスモデルにおけるアシタバポリフェノールの効果

肺血栓塞栓症(PTE)は、主に深部静脈血栓症に引き続いて起こる致死的な静脈血栓塞栓症であり、急性期死亡率は30%を越える。また、死亡例の多くは極めて短時間で突然死に至ることから治療が難しく、徹底した予防が重要となる。しかし、動脈硬化を基盤として発症する動脈血栓症(脳梗塞や心筋梗塞など)と比べ、PTEの発症や予防に関わる食品やその成分に関する情報は圧倒的に少ない状況にある。本研究では、抗血栓作用が近年明らかにされたアシタバポリフェノールの摂取がPTE症状に及ぼす影響について、マウスモデルを用いて検討した。C57BL/6Jマウスを通常食またはアシタバポリフェノール含有食で3週間飼育後、血小板凝集を...

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Published in東京家政学院大学紀要 Vol. 64; pp. 27 - 33
Main Authors 坂野, 麻里子, 坂野, 史明, 大藏, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東京家政学院大学 31.08.2024
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ISSN2186-1951
2434-7922
DOI10.32295/kaseigakuinkiyo.64.0_27

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Summary:肺血栓塞栓症(PTE)は、主に深部静脈血栓症に引き続いて起こる致死的な静脈血栓塞栓症であり、急性期死亡率は30%を越える。また、死亡例の多くは極めて短時間で突然死に至ることから治療が難しく、徹底した予防が重要となる。しかし、動脈硬化を基盤として発症する動脈血栓症(脳梗塞や心筋梗塞など)と比べ、PTEの発症や予防に関わる食品やその成分に関する情報は圧倒的に少ない状況にある。本研究では、抗血栓作用が近年明らかにされたアシタバポリフェノールの摂取がPTE症状に及ぼす影響について、マウスモデルを用いて検討した。C57BL/6Jマウスを通常食またはアシタバポリフェノール含有食で3週間飼育後、血小板凝集を惹起するコラーゲン+アドレナリン溶液を静注することでPTEを誘発し、生存率および肺血管内血栓形成を比較解析した。その結果、コラーゲン+アドレナリン溶液静注後の生存率、生存時間、肺血管閉塞度には、いずれも通常食群とアシタバポリフェノール食群で有意差は認められなかった。したがって、アシタバポリフェノールの抗血栓作用は、血小板凝集を契機として引き起こるPTEの抑制には反映されないことが明らかとなった。
ISSN:2186-1951
2434-7922
DOI:10.32295/kaseigakuinkiyo.64.0_27