抗リウマチ剤関連肺障害におけるアルゴリズムを用いた因果関係評価の試み

【背景と目的】抗リウマチ剤の副作用として肺障害がしばしば問題となるが、種々の因子によりその因果関係について客観的評価が困難な場合がある。臨床薬理学や薬剤疫学では副作用や有害事象の因果関係評価の一貫性や客観性を保持するために、アルゴリズムやスコアリングを用いた評価法が複数提示されているが、抗リウマチ剤に関連する症例報告や市販後調査に必ずしも十分に適用されているとは言えない。そこでまず自験例にこれらの評価法を適用し、それぞれの評価法の妥当性ないし各症例側に存在する問題点を考察した。【方法と結果】東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科において、2000年以降経験し教室内での症例検討にて抗リウマチ剤関連...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 33; p. 129
Main Authors 針谷, 正祥, 小川, 純, 宮坂, 信之, 小池, 竜司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2005
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.33.0.129.0

Cover

More Information
Summary:【背景と目的】抗リウマチ剤の副作用として肺障害がしばしば問題となるが、種々の因子によりその因果関係について客観的評価が困難な場合がある。臨床薬理学や薬剤疫学では副作用や有害事象の因果関係評価の一貫性や客観性を保持するために、アルゴリズムやスコアリングを用いた評価法が複数提示されているが、抗リウマチ剤に関連する症例報告や市販後調査に必ずしも十分に適用されているとは言えない。そこでまず自験例にこれらの評価法を適用し、それぞれの評価法の妥当性ないし各症例側に存在する問題点を考察した。【方法と結果】東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科において、2000年以降経験し教室内での症例検討にて抗リウマチ剤関連肺障害を疑われた9症例につき、Kramer、Karch、Naranjoそれぞれによって提示されたアルゴリズムにより薬剤と肺障害の因果関係を評価した。ほとんどの症例でpossible以上の関連があると評価されたが、一方でdefiniteに至る強い関連と評価できた例も認めなかった。薬剤性肺障害の薬理学的特性、投与以前に関節リウマチに合併して存在する肺障害が大きな介入要素と推測され、今後抗リウマチ剤関連肺障害の因果関係評価を行うに当たり、これらの介入要素の取り扱いについて十分な検討を要すると考えられた。
Bibliography:15-1
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.33.0.129.0