成人期に確認されたB細胞欠損による無γグロブリン血症の1例

【緒言】B細胞欠損による無γグロブリン血症に染色体異常を伴った1例を経験した。このような免疫不全症が成人期に診断されることは極めて稀であり文献的考察を加え報告する。【症例】34歳女性。小児期感染症の遷延、重症化。左膝関節痛と発熱に対して他院にて抗菌薬を投与。関節炎は軽快したが、CRP上昇と発熱が持続するため紹介入院となった。低身長、やせ、鳩胸、特異顔貌、高口蓋、口唇口蓋裂、開口障害あり。左肺呼吸音減弱。CRP 15.7mg/dL、WBC 11000/µL (Neu 83.4%、Lym 9.9%)、Hb 8.8g/dL、PLT 41.2万/µL、CD19+ 0.1%以下、CD4/CD8比0.68...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 35; p. 128
Main Authors 西尾, 信一郎, 秋元, 貴美子, 松本, 菜穂子, 吉野, 匠, 山本, 竜大, 高木, 賢治, 金子, 開知, 楠, 芳恵, 徳山, 美香, 川合, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2007
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.35.0.128.0

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Summary:【緒言】B細胞欠損による無γグロブリン血症に染色体異常を伴った1例を経験した。このような免疫不全症が成人期に診断されることは極めて稀であり文献的考察を加え報告する。【症例】34歳女性。小児期感染症の遷延、重症化。左膝関節痛と発熱に対して他院にて抗菌薬を投与。関節炎は軽快したが、CRP上昇と発熱が持続するため紹介入院となった。低身長、やせ、鳩胸、特異顔貌、高口蓋、口唇口蓋裂、開口障害あり。左肺呼吸音減弱。CRP 15.7mg/dL、WBC 11000/µL (Neu 83.4%、Lym 9.9%)、Hb 8.8g/dL、PLT 41.2万/µL、CD19+ 0.1%以下、CD4/CD8比0.68。IgG、A、M、E、D全て測定感度以下。骨髄CD10+ 1%、add(8)(q24) 17/20。胸部CTにて心嚢液・胸水の貯留あり、胸腺腫。膿性胸水でブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌を検出。【経過】膿胸と診断し、γグロブリン、抗菌薬、胸水ドレナージにて軽快した。以後、γグロブリン補充療法にて経過良好。【考察】本例は先天異常が強く示唆され、さらにB細胞欠損を伴う無γグロブリン血症が成人期に確認された極めて稀な例であり、Chromosome instability syndromeと考えられた。遺伝子検索等、今後詳細な検討を予定している。
Bibliography:87
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.35.0.128.0