環境DNAを用いた感染症研究への期待
環境中のDNA情報から微生物だけでなくマクロ生物の生態を読み解こうとする「環境DNA分析」と呼ばれる技術が急速に発展している.環境DNAとは水や土などの環境媒体に含まれるDNAの総称であり,生物体そのものに含まれるDNAや,糞や体表粘液などを介して放出されたマクロ生物の生体外DNAを含む.環境DNAの分析には大きく分けて,種特異的検出とメタバーコーディングの2種類の手法があり,目的によって使い分けられる.適用可能な対象は微生物から脊椎動物まで,遺伝子としてDNAをもつあらゆる生物(ここではウイルスを含む)であり,川や池などの陸水域だけでなく海域への適用も報告されている.本稿ではマクロ生物の環境...
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Published in | Uirusu Vol. 66; no. 2; pp. 171 - 178 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
Tokyo
日本ウイルス学会
01.01.2016
Japan Science and Technology Agency |
Subjects | |
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ISSN | 0042-6857 1884-3433 |
DOI | 10.2222/jsv.66.171 |
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Summary: | 環境中のDNA情報から微生物だけでなくマクロ生物の生態を読み解こうとする「環境DNA分析」と呼ばれる技術が急速に発展している.環境DNAとは水や土などの環境媒体に含まれるDNAの総称であり,生物体そのものに含まれるDNAや,糞や体表粘液などを介して放出されたマクロ生物の生体外DNAを含む.環境DNAの分析には大きく分けて,種特異的検出とメタバーコーディングの2種類の手法があり,目的によって使い分けられる.適用可能な対象は微生物から脊椎動物まで,遺伝子としてDNAをもつあらゆる生物(ここではウイルスを含む)であり,川や池などの陸水域だけでなく海域への適用も報告されている.本稿ではマクロ生物の環境DNA分析の現状を紹介するとともに,ウイルス学をはじめとする感染症の研究分野への応用可能性,およびそのために解決すべき課題について述べる. |
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Bibliography: | ObjectType-Article-1 SourceType-Scholarly Journals-1 ObjectType-Feature-2 content type line 14 |
ISSN: | 0042-6857 1884-3433 |
DOI: | 10.2222/jsv.66.171 |