膝前十字靱帯再建術後3 ヶ月時の膝関節筋力によるスポーツ復帰の可否の検討

【はじめに】膝前十字靭帯(ACL)損傷患者は,術後3 ヶ月よりCYBEX NORM(メディカ社製)を用いた膝関節筋力測定を行い,以後1 ヶ月ごとに測定しスポーツ復帰の目安としている。ACL 損傷者のスポーツ復帰において,術後6 ヶ月以降の膝関節筋力等を用いた調査が報告されている。しかし,筋力測定開始となる術後3 ヶ月の膝関節筋力を用いてスポーツ復帰の可否を検討した報告は少なく,スポーツ復帰を判定するカットオフ値を報告した研究も少ない。術後3 ヶ月でのカットオフ値は,リハビリテーションにおける目標設定やプログラムの立案に有用であると考える。本研究の目的は,ACL 再建術後3 ヶ月時の膝関節筋力を...

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Published inKyushu physical therapist Congress Vol. 2021; p. 60
Main Authors 廣瀬, 幸太, 益山, 舞希, 恒松, 奈菜子, 綱, 翔太郎, 豊永, 勇樹, 池田, 竜也, 福永, 誠司, 藤元, 勇一郎, 川口, 香菜美, 松澤, 雄太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会 2021
Kyushu Physical Therapy Association
Subjects
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ISSN2434-3889
DOI10.32298/kyushupt.2021.0_60

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Summary:【はじめに】膝前十字靭帯(ACL)損傷患者は,術後3 ヶ月よりCYBEX NORM(メディカ社製)を用いた膝関節筋力測定を行い,以後1 ヶ月ごとに測定しスポーツ復帰の目安としている。ACL 損傷者のスポーツ復帰において,術後6 ヶ月以降の膝関節筋力等を用いた調査が報告されている。しかし,筋力測定開始となる術後3 ヶ月の膝関節筋力を用いてスポーツ復帰の可否を検討した報告は少なく,スポーツ復帰を判定するカットオフ値を報告した研究も少ない。術後3 ヶ月でのカットオフ値は,リハビリテーションにおける目標設定やプログラムの立案に有用であると考える。本研究の目的は,ACL 再建術後3 ヶ月時の膝関節筋力を用いてスポーツ復帰の可否を検討し,カットオフ値を算出することとした。【対象と方法】平成24 年11 月から令和元年6 月までの7 年7 ヶ月間に当院にてACL 再建術を施行され,スポーツ復帰までリハビリ加療された症例のうち,再受傷,対側受傷,筋力データ欠損者を除外した90 名(年齢19.0 ± 6.43 歳,女性58 名)を対象とした。対象を当院のスポーツ復帰目標である8 ヶ月で復帰出来た群(復帰群)と,復帰出来なかった群(非復帰群)に分類した。評価項目は,術後3 ヶ月時の健側,患側の膝伸展および屈曲筋力,それぞれの健患比,膝伸展筋力に対する膝屈曲筋力の比(H/Q 比)とした。膝関節筋力測定にはCYBEX NORMを用いて角速度60° /sec にて5 回計測し,そのピークトルク値の最大値を体重で正規化したものを代表値とした。統計処理は,各項目をマン・ホイットニーのU 検定を用いて2 群間の比較を行った。さらに,スポーツ復帰の可否を従属変数,年齢,性別,2 群間の比較においてP 値が0.1 未満であった項目を多重共線性に配慮しつつ独立変数とし,ロジスティック回帰分析にて検討を行った。また,ROC 曲線を用いてカットオフ値を算出した。統計処理はR コマンダー2.8.1 を用い,有意水準は5% とした。【結果】2 群間の比較において,3 ヶ月での患側膝関節伸展筋力(p【倫理的配慮,説明と同意】本研究は当院倫理審査委員会(承認番号016)にて承認を得た。ヘルシンキ宣言,及び人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に基づき個人情報保護のため得られたデータは個人情報が特定できないよう十分配慮し管理した。
ISSN:2434-3889
DOI:10.32298/kyushupt.2021.0_60