末端チオールポリスチレン薄膜被覆による銅への酸化耐性の付与に関するボルタンメトリー法による検討

末端チオールポリスチレン(PSt-SH)の有機薄膜により銅表面の被覆を行い,その酸化耐性への影響について検討を行った.前報ではXPSと接触電気抵抗の評価により酸化耐性について検討したが,今回はCyclic voltammetry (CV)測定により酸化還元挙動の解析を試みた.CV測定で得られた銅の酸化還元曲線におけるアノードとカソード領域のピーク面積の積分値より酸化と還元にともなう電荷量を求め,これらより電極における酸化と大気雰囲気下における酸化の進行を評価した.その結果,高分子のPSt-SHで被覆した銅は,低分子のアルカンチオールの場合に比べて電極における酸化はやや大きいものの,大気中高温下...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in高分子論文集 Vol. 73; no. 3; pp. 294 - 301
Main Authors 塚原, 安久, 高木, 珠吏, 足立, 馨, 池田, 卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2016
Online AccessGet full text
ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.2015-0081

Cover

More Information
Summary:末端チオールポリスチレン(PSt-SH)の有機薄膜により銅表面の被覆を行い,その酸化耐性への影響について検討を行った.前報ではXPSと接触電気抵抗の評価により酸化耐性について検討したが,今回はCyclic voltammetry (CV)測定により酸化還元挙動の解析を試みた.CV測定で得られた銅の酸化還元曲線におけるアノードとカソード領域のピーク面積の積分値より酸化と還元にともなう電荷量を求め,これらより電極における酸化と大気雰囲気下における酸化の進行を評価した.その結果,高分子のPSt-SHで被覆した銅は,低分子のアルカンチオールの場合に比べて電極における酸化はやや大きいものの,大気中高温下での酸化の進行は極めて小さいまま保持され,150°Cに加熱しても酸化の進行がほとんど認められず,CV測定からPSt-SHの薄膜による被覆は銅の酸化耐性の付与に有用であることが示された.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.2015-0081