コレステロール塞栓症に続発した上行結腸壊死の1例

症例は70代,男性.当院循環器内科で下肢閉塞性動脈硬化症に対して血管内カテーテル治療施行後,コレステロール塞栓症を合併し,その加療中に急激な腹痛を主訴に発症した.腹部所見では右下腹部に圧痛を認め,血液検査で炎症反応の上昇,腹部造影CT検査にて腎臓,肝臓,脾臓の梗塞像に加え,上行結腸間膜内のガス像,腸管壁の破綻をみとめた.コレステロール塞栓症による上行結腸壊死と診断し緊急手術を施行した.盲腸から横行結腸肝弯曲にかけて壊死に陥っている結腸をみとめ,結腸右半切除および回腸人工肛門造設術を行った.病理組織検査で上行結腸間膜内の血管にコレステロール塞栓が確認され,コレステロール塞栓が原因による腸管壊死と...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 1; pp. 27 - 32
Main Authors 向坂, 英樹, 賀川, 義規, 加藤, 健志, 太田, 高志, 木村, 慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.69.27

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Summary:症例は70代,男性.当院循環器内科で下肢閉塞性動脈硬化症に対して血管内カテーテル治療施行後,コレステロール塞栓症を合併し,その加療中に急激な腹痛を主訴に発症した.腹部所見では右下腹部に圧痛を認め,血液検査で炎症反応の上昇,腹部造影CT検査にて腎臓,肝臓,脾臓の梗塞像に加え,上行結腸間膜内のガス像,腸管壁の破綻をみとめた.コレステロール塞栓症による上行結腸壊死と診断し緊急手術を施行した.盲腸から横行結腸肝弯曲にかけて壊死に陥っている結腸をみとめ,結腸右半切除および回腸人工肛門造設術を行った.病理組織検査で上行結腸間膜内の血管にコレステロール塞栓が確認され,コレステロール塞栓が原因による腸管壊死と診断した.コレステロール塞栓症にて上行結腸壊死,間膜内穿通をきたした症例に対して手術を施行し生存し得た1例を経験したので報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.27