急性胆嚢炎にて発症した胆嚢癌肉腫の1例

症例は79歳, 男性. 腹痛を主訴として来院. 臨床検査成績は炎症所見および胆道系酵素の上昇があり,US, CTでは急性胆嚢炎および胆嚢内腫瘤を認めた.腹痛が増強するためPTCCD, PTCCSを施行.胆嚢内に白色調で一部出血を示す比較的大きな隆起性病変を認め,生検では腺癌であった.腹部血管造影では胆嚢動脈の腫瘍濃染像を認めた.胆嚢癌の診断にて拡大胆摘術を施行.肉眼所見は胆嚢内腔へ突出する65×30×30mm大,有茎性充実性の腫瘍であり割面は白色調であった.組織学的には紡錘様細胞からなる肉腫と高分化型腺癌とが混在し,癌肉腫の像を呈した.免疫組織化学的検索では肉腫部分は間葉系の性格を示したが,電...

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Published in胆道 Vol. 4; no. 4; pp. 499 - 504
Main Authors 宮治, 真, 水野, 清, 浜田, 茂彰, 鈴木, 浩一, 大石, 真広, 中村, 真一, 武内, 俊彦, 北村, 宏, 大岩, 孝幸, 横地, 眞, 星野, 信, 山口, 洋介, 岩瀬, 正紀, 池田, 和雄, 斎田, 康彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1990
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.4.4_499

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Summary:症例は79歳, 男性. 腹痛を主訴として来院. 臨床検査成績は炎症所見および胆道系酵素の上昇があり,US, CTでは急性胆嚢炎および胆嚢内腫瘤を認めた.腹痛が増強するためPTCCD, PTCCSを施行.胆嚢内に白色調で一部出血を示す比較的大きな隆起性病変を認め,生検では腺癌であった.腹部血管造影では胆嚢動脈の腫瘍濃染像を認めた.胆嚢癌の診断にて拡大胆摘術を施行.肉眼所見は胆嚢内腔へ突出する65×30×30mm大,有茎性充実性の腫瘍であり割面は白色調であった.組織学的には紡錘様細胞からなる肉腫と高分化型腺癌とが混在し,癌肉腫の像を呈した.免疫組織化学的検索では肉腫部分は間葉系の性格を示したが,電顕的には細胞同士が豊富な接着装置を有し,上皮性の性格がみられたため,癌が二次的に肉腫化した可能性も考えられた.本症例は,癌肉腫の組織発生を考察する上で興味深い症例と考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.4.4_499