歯の変位量から咬合力を推定する方法

歯の変位の測定と感圧シートによる咬合力の測定を同時に行い, 上下顎咬合面間に介在物のない状態で作用する咬合力を歯の変位量から推定する方法について検討した.被験者は顎口腔系に特に異常を認めない健常被験者 (男性, 27歳) 1名である.被験歯は上顎左側第一大臼歯で, 歯の変位の測定には3次元微小変位計M-3型を用いた.また, 咬合力の測定には感圧シート (デンタルプレスケール, 富士写真フイルム) を用いた.被験者にはオシロスコープに表示した被験歯の変位量を確認させながら噛みしめ強度を調節するように指示した.被験歯の咬合面形態は咬合面形状認識装置 (オプトレース, 松風) を用いてスタディモデル...

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Published in日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 14; no. 1; pp. 1 - 12
Main Authors 中村, 紀子, 三浦, 宏之, 進, 千春, 田中, 義浩, 長谷川, 成男, 古木, 譲, 野崎, 浩佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎口腔機能学会 30.10.2007
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ISSN1340-9085
1883-986X
DOI10.7144/sgf.14.1

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Summary:歯の変位の測定と感圧シートによる咬合力の測定を同時に行い, 上下顎咬合面間に介在物のない状態で作用する咬合力を歯の変位量から推定する方法について検討した.被験者は顎口腔系に特に異常を認めない健常被験者 (男性, 27歳) 1名である.被験歯は上顎左側第一大臼歯で, 歯の変位の測定には3次元微小変位計M-3型を用いた.また, 咬合力の測定には感圧シート (デンタルプレスケール, 富士写真フイルム) を用いた.被験者にはオシロスコープに表示した被験歯の変位量を確認させながら噛みしめ強度を調節するように指示した.被験歯の咬合面形態は咬合面形状認識装置 (オプトレース, 松風) を用いてスタディモデル上で計測して求めた.その後, 各咬合接触部位の法線ベクトルを求め, プレスケールの咬合力値から各咬合接触部位に作用する咬合力ベクトルを算出し, その合力を求めて被験歯に作用した咬合力とした.その上で, 変位量から咬合力の大きさを推定する回帰式を求め, F=2.38D+50.1 (F: 咬合力 [N] , D: 変位量 [μm] ) を得た.この回帰式を用いて咬合力を推定するときの95%信頼区間の幅は変位量70~160μmの範囲で± (114.7~125.9) Nとなり, 歯の変位量から咬合力を推定することの可能性が示唆された.
ISSN:1340-9085
1883-986X
DOI:10.7144/sgf.14.1