新生涯学習制度導入に伴う 法人内新人理学療法士教育システムへの反映

【はじめに】現在、理学療法教育の転換期を迎えており、日本理学療法士協会においても新生涯学習制度が開始され、生涯にわたる知識・技術の維持と更新を促進し、社会に対する理学療法士の質の担保が必要となっている。そのような中で、新吉塚病院、福岡みらい病院、金隈病院の相生会福岡3病院では、病院別に実施していた教育制度の情報共有を行い、各病院の特色を活用したうえで、共通の教育システムを昨年中に構築した。そして、今年度よりその教育システムの運用を開始し、新人理学療法士の人材育成とキャリアアップを目的とした取り組みを実施している。【目的】日本理学療法士協会の新生涯学習制度(以下新生涯制度)を反映させた、法人内新...

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Published inKyushu physical therapist Congress Vol. 2022; p. 81
Main Authors 元尾, 奈穂子, 松﨑, 英章, 松木, 和典, 吉田, 純一, 梅﨑, 浩嗣, 黒田, 昌人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会 2022
Kyushu Physical Therapy Association
Subjects
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ISSN2434-3889
DOI10.32298/kyushupt.2022.0_81

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Summary:【はじめに】現在、理学療法教育の転換期を迎えており、日本理学療法士協会においても新生涯学習制度が開始され、生涯にわたる知識・技術の維持と更新を促進し、社会に対する理学療法士の質の担保が必要となっている。そのような中で、新吉塚病院、福岡みらい病院、金隈病院の相生会福岡3病院では、病院別に実施していた教育制度の情報共有を行い、各病院の特色を活用したうえで、共通の教育システムを昨年中に構築した。そして、今年度よりその教育システムの運用を開始し、新人理学療法士の人材育成とキャリアアップを目的とした取り組みを実施している。【目的】日本理学療法士協会の新生涯学習制度(以下新生涯制度)を反映させた、法人内新人理学療法士教育システムを作成し、運用することを目的とする。【方法】現在法人内で運用している新人理学療法士教育システムに対し、新生涯制度における前期研修・後期研修の対象者やカリキュラムおよび到達目標を照らし合わせることで、それぞれに共有する部分を抽出した。【新人理学療法士教育システム(ラダー)について】ラダーⅠは1 年目スタッフを対象とし、新人研修の位置付けであり、必要に応じて自ら指導を求め、基礎的なリハビリテーションを実践できるレベルを到達目標としている。Off-JT とOJT を導入しており、Off-JT は病棟機能や保険制度および基礎的なリハビリテーション関連の座学に加え、様々な病棟や介護保険分野の施設等で1 日研修を行い現場で実際に学ぶプログラムも含んでおり、全46 項目のカリキュラムで構成している。また、OJT は組織理念の理解やカルテ管理・医療安全管理など共通56 項目に加え、評価や治療、危険予知といった職能81 項目で構成し、評価チェックシートを用い定期的に達成度の評価を実施している。ラダーⅡは2-4年目スタッフを対象とし、自立して基礎的なリハビリテーションを実践できるレベルを到達目標としている。Off-JT としては、理学療法の生涯学習として必要な「教育・研究・臨床」に関する講義に加え、症例発表や研修成果発表等を含めた全36 項目のカリキュラムで構成している。【結果】新生涯制度前期研修の実地研修D-1 イ32 コマ取得に関しては、ラダーⅠOJT の評価チェックシートを履修することで同様の成果を成していると考えられた。また、新生涯制度後期研修E:領域別研修(事例)1 コマ取得に関しては、ラダーⅡoff-JT における症例発表および研修成果発表にて症例を通した検討を発表することで、同様の成果を成していると考えられる。さらにラダーⅠ・Ⅱの座学は1 コマ60 分としており、理学療法関連分野における講師を原則登録理学療法士から選考しているため、講師を務めた職員に関しては、新生涯制度登録理学療法士更新の1 ポイントを取得することが出来ると考えられた。【まとめ】新人理学療法士の経験年数に対する到達目標としては、ラダーと新生涯制度に大きな相違はなく、それぞれの段階で反映が可能であった。また、今まで院内での活動が形として認められにくい部分があったが、その活動がPT 協会の定める新生涯制度のポイントとなることで、職員の自己研鑽意欲の向上に繋がってくると考えられた。【今後の課題】現在新人理学療法士への教育システムしか運用できておらず、中堅理学療法士を対象とした教育システムを構築している段階である。対象者の経験年数からも、新生涯制度における登録理学療法士更新だけでなく、認定・専門理学療法士制度も熟知した上で、制度と結びつけながらさらなる教育システムの構築・運用を進めていきたいと考える。【倫理的配慮、説明と同意】特記
Bibliography:P-09
ISSN:2434-3889
DOI:10.32298/kyushupt.2022.0_81