地方中核病院におけるClostridium difficile感染症の発生頻度とその関連因子

Clostridium difficile(CD)感染症の発症率,臨床的背景について検討した.対象は2年3ヵ月間に施行した抗菌薬投与中の発熱および下痢を認める患者のうち便中毒素検査施行し陽性となった103例.CDtoxin発生率は年内入院患者数あたり72.5/10万人であった.平均年齢83.4歳であり,死亡数は13人(12.6%)で再発例は16人(15.5%)であった.抗菌薬投与連続2剤以上かつ長期間使用例での発生率は48.6例/10万人,その他の投与方法での発生率は23.9例/10万人であり,長期多剤の発生率は高率であった.また臨床的背景としては,長期臥床者84人(81.6%)で,最も多く認...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 67; no. 2; pp. 74 - 79
Main Authors 吉澤, 直之, 有冨, 貴道, 中林, 正一, 関, 剛彦, 矢野, 豊, 松井, 敏幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2014
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.67.74

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Summary:Clostridium difficile(CD)感染症の発症率,臨床的背景について検討した.対象は2年3ヵ月間に施行した抗菌薬投与中の発熱および下痢を認める患者のうち便中毒素検査施行し陽性となった103例.CDtoxin発生率は年内入院患者数あたり72.5/10万人であった.平均年齢83.4歳であり,死亡数は13人(12.6%)で再発例は16人(15.5%)であった.抗菌薬投与連続2剤以上かつ長期間使用例での発生率は48.6例/10万人,その他の投与方法での発生率は23.9例/10万人であり,長期多剤の発生率は高率であった.また臨床的背景としては,長期臥床者84人(81.6%)で,最も多く認めた.また103例中で内視鏡と対比できた患者が30例あり,その有所見者は21人で70.0%であった.以上より当院におけるCD発生率は比較的高率で,長期臥床,抗菌薬の多剤長期間使用がその誘因と考えられた.また,確定診断に内視鏡検査が有用であった.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.67.74