多誘導ホルター心電図を用いた虚血性ST体表面電位図の検討

生活動作中の心筋虚血によるST偏位の出現部位とその拡がりの時間的推移を, 多誘導ホルター心電図記録から体表面電位図を作成することにより検討した.対象は冠動脈造影で有意狭窄が確認された狭心症患者29名で, 22例に虚血性ST偏位を認めた.左前下行枝狭窄例ではST下降領域は左側胸部の上下に広範囲に存在し, 左回旋枝狭窄例では左側胸部の下方に限局, 右冠動脈病変例では左側胸部下方に広範囲に認めた.多枝病変例では虚血性ST下降は左前胸部全般に認め, 右冠動脈の冠攣縮性狭心症例ではST上昇領域を左側胸部から下方に, 対側性のST下降を右上方に認めた.ST下降の極小の位置は心筋虚血の間持続してV5の下方に...

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Published in心電図 Vol. 18; no. 1; pp. 68 - 77
Main Authors 山口, 珠緒, 野場, 万司, 菱田, 仁, 上出, 真一, 森, 秀雄, 渡邉, 佳彦, 安井, 直, 岡島, 光治, 近松, 均, 加藤, 千雄, 渡邊, 靖之, 嶋地, 健, 鈴木, 茂孝, 木下, 優, 後藤, 敏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1998
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.18.68

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Summary:生活動作中の心筋虚血によるST偏位の出現部位とその拡がりの時間的推移を, 多誘導ホルター心電図記録から体表面電位図を作成することにより検討した.対象は冠動脈造影で有意狭窄が確認された狭心症患者29名で, 22例に虚血性ST偏位を認めた.左前下行枝狭窄例ではST下降領域は左側胸部の上下に広範囲に存在し, 左回旋枝狭窄例では左側胸部の下方に限局, 右冠動脈病変例では左側胸部下方に広範囲に認めた.多枝病変例では虚血性ST下降は左前胸部全般に認め, 右冠動脈の冠攣縮性狭心症例ではST上昇領域を左側胸部から下方に, 対側性のST下降を右上方に認めた.ST下降の極小の位置は心筋虚血の間持続してV5の下方に存在したが, ―枝病変例ではST下降領域の広さ及び分布は罹患枝により異なる傾向を示した.以上は従来の運動負荷ST電位図の成績と概ね―致し, 本法は日常生活中の心筋虚血による心電図変化の検討に有用となる可能性が示唆された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.18.68