術中に悪性腫瘍が疑われ腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した腸管子宮内膜症の1例

症例は45歳,女性.腹痛および血便を主訴に前医を受診した.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に腫瘤を認め,生検ではGroup1であった.精査加療目的に当院へ紹介となった.生検および画像検査では確定診断に至らず,診断的治療目的に手術を行った.腫瘤は左卵巣動静脈および左外側大腿皮神経と癒着しており,悪性腫瘍による浸潤の可能性も考慮して,それらを合併切除し腹腔鏡補助下S状結腸切除術(D2郭清)を施行した.病理組織診断は腸管子宮内膜症で,悪性所見は認めなかった.術後は外来にて,再発予防のホルモン療法を行っている.腸管子宮内膜症の病変は粘膜下層以深に存在することが多く,生検による術前診断率は低い.以上の要点...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 76; no. 8; pp. 533 - 537
Main Authors 松村, 年久, 國末, 浩範, 久保, 孝文, 塩入, 幹汰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2023
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.76.533

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Summary:症例は45歳,女性.腹痛および血便を主訴に前医を受診した.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に腫瘤を認め,生検ではGroup1であった.精査加療目的に当院へ紹介となった.生検および画像検査では確定診断に至らず,診断的治療目的に手術を行った.腫瘤は左卵巣動静脈および左外側大腿皮神経と癒着しており,悪性腫瘍による浸潤の可能性も考慮して,それらを合併切除し腹腔鏡補助下S状結腸切除術(D2郭清)を施行した.病理組織診断は腸管子宮内膜症で,悪性所見は認めなかった.術後は外来にて,再発予防のホルモン療法を行っている.腸管子宮内膜症の病変は粘膜下層以深に存在することが多く,生検による術前診断率は低い.以上の要点を中心に文献的考察を加え報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.76.533