関節リウマチおよび全身性エリテマトーデスにおけるタクロリムスの有害反応に関する検討

【目的】タクロリムスはわが国で開発された免疫抑制薬であり、近年、関節リウマチ(RA)及びループス腎炎に対する臨床的意義が注目されている。しかし、有害反応に関する報告は少ない。そこで、RA及び全身性エリテマトーデス(SLE)患者におけるタクロリムスの有害反応を検討した。【方法】当科にて1~3mg/日のタクロリムスの治療が開始されたRA患者42例と、SLE患者10例について、レトロスペクティブに有害反応と背景因子を検討した。【結果】RA患者のタクロリムス開始後の観察期間は平均157±131(SD)か月であり、その間に24例が中止されていた。中止時期をKaplan-Meiyer法で検討すると、投与開...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 35; p. 69
Main Authors 西尾, 信一郎, 楠, 芳恵, 高木, 賢治, 川合, 眞一, 秋元, 貴美子, 松本, 菜穂子, 金子, 開知, 山本, 竜大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2007
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.35.0.69.0

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Summary:【目的】タクロリムスはわが国で開発された免疫抑制薬であり、近年、関節リウマチ(RA)及びループス腎炎に対する臨床的意義が注目されている。しかし、有害反応に関する報告は少ない。そこで、RA及び全身性エリテマトーデス(SLE)患者におけるタクロリムスの有害反応を検討した。【方法】当科にて1~3mg/日のタクロリムスの治療が開始されたRA患者42例と、SLE患者10例について、レトロスペクティブに有害反応と背景因子を検討した。【結果】RA患者のタクロリムス開始後の観察期間は平均157±131(SD)か月であり、その間に24例が中止されていた。中止時期をKaplan-Meiyer法で検討すると、投与開始後60日以内とそれ以降の2群に分けられた。60日以内中止例は13例であり、そのうち12例が有害反応によった。原因としては、消化器症状、特に嘔気・嘔吐の頻度が高かった。一方、SLEでは、12か月の観察期間で胸痛と感染症による中止例が各々1例認められたが、消化器症状による中止例は認めなかった。タクロリムス初回投与量2mg/日以上のRA患者群では、2mg/日未満群に比べて、有意に消化器症状の発症頻度が高かった。【結論】SLEとは異なり、RAにおけるタクロリムスの中止例は、投与開始後60日以内に発症した消化器症状によることが多く、発症頻度は用量依存性であった。
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ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.35.0.69.0