自然免疫内因性リガンドとしてのストレス蛋白質による自己免疫疾患病態制御
SLEを含む自己免疫疾患では、患者血清中にストレス蛋白質Hsp90および抗Hsp90抗体が存在することが示されている。しかしこれらの病因・病態への関与は明らかではない。最近、SLEの患者血清中に存在する抗DNA抗体が自己ゲノムDNAと抗原抗体複合体を形成すると、Fc受容体を介して形質細胞様樹状細胞 (pDC) に取り込まれ、TLR9依存性にI型インターフェロン (IFN)をはじめとするサイトカイン産生を誘導し、免疫系を強く活性化し、病態の増悪を惹起することが示されている。一方CpG DNAはTLR9のリガンドとして知られているが、CpG DNAのなかでもCpG-AはpDCのエンドソームに存在す...
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Published in | Nihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 37; p. 40 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2009
The Japan Society for Clinical Immunology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-3296 |
DOI | 10.14906/jscisho.37.0.40.0 |
Cover
Summary: | SLEを含む自己免疫疾患では、患者血清中にストレス蛋白質Hsp90および抗Hsp90抗体が存在することが示されている。しかしこれらの病因・病態への関与は明らかではない。最近、SLEの患者血清中に存在する抗DNA抗体が自己ゲノムDNAと抗原抗体複合体を形成すると、Fc受容体を介して形質細胞様樹状細胞 (pDC) に取り込まれ、TLR9依存性にI型インターフェロン (IFN)をはじめとするサイトカイン産生を誘導し、免疫系を強く活性化し、病態の増悪を惹起することが示されている。一方CpG DNAはTLR9のリガンドとして知られているが、CpG DNAのなかでもCpG-AはpDCのエンドソームに存在するTLR9に結合することにより、大量のIFN-αを産生する。一方、古典的DC (cDC) は同様にCpG-Aを取り込むが、IFN-αの産生は弱い。我々はHsp90がCpG DNAを結合し、このCpG DNAをDCのエンドソームに標的し、かつ貯留させる機能を持つことを明らかにした。すなわちin vitroにおいて作製したHsp90-CpG複合体をpDCにパルスすると、CpG単独に比較して、約2倍のIFN-αの産生を認めた。さらにcDCにパルスした場合、CpG-A単独ではIFN-αの産生は認められないが、Hsp90-CpG-A複合体では、大量のIFN-αの産生を認めた。さらに共焦点レーザー顕微鏡を用いて、Hsp90にシャペロンされたCpG DNAはcDCの初期エンドソームに入り、長時間貯留することを示した。この結果はSLE患者血清中に存在するHsp90は自己のDNAを結合している可能性があり、Hsp90-自己DNA複合体はpDCに取り込まれ、強力にIFN-αを産生誘導している可能性を示唆する。本シンポジウムでは、Hsp90阻害によるSLEの治療の可能性を含め、我々の研究を紹介したい。 |
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Bibliography: | W3-3 |
ISSN: | 1880-3296 |
DOI: | 10.14906/jscisho.37.0.40.0 |