関節リウマチ患者における可溶性CD1d分子の役割

[目的]CD1d分子は糖脂質抗原を認識し、NKT細胞を活性化する。現在までに、一部の自己免疫疾患患者での末梢血NKT細胞数の減少が報告され、我々はCD1d分子の変異体である可溶性CD1d ( sCD1d )のmRNAが、関節リウマチ( RA )患者で有意に低下していることを報告している。本研究では可溶性CD1dに着目し、RA患者血清中のそれらの存在の有無の検討、およびその機能解析を目的とした。[方法](1)抗sCD1d特異的抗体、組み換えsCD1dタンパクを作成し、ELISA法によるsCD1d測定システムを確立した。RA患者と健常人血漿におけるsCD1dタンパク発現量の測定を行い、臨床症状との...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 35; p. 81
Main Authors 瀬川, 誠司, 後藤, 大輔, 吉賀, 洋平, 伊藤, 聡, 堤, 明人, 松本, 功, 住田, 孝之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2007
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.35.0.81.0

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Summary:[目的]CD1d分子は糖脂質抗原を認識し、NKT細胞を活性化する。現在までに、一部の自己免疫疾患患者での末梢血NKT細胞数の減少が報告され、我々はCD1d分子の変異体である可溶性CD1d ( sCD1d )のmRNAが、関節リウマチ( RA )患者で有意に低下していることを報告している。本研究では可溶性CD1dに着目し、RA患者血清中のそれらの存在の有無の検討、およびその機能解析を目的とした。[方法](1)抗sCD1d特異的抗体、組み換えsCD1dタンパクを作成し、ELISA法によるsCD1d測定システムを確立した。RA患者と健常人血漿におけるsCD1dタンパク発現量の測定を行い、臨床症状との関連性を検討する。(2)sCD1dタンパクとC57BL/6マウス脾臓細胞を用いて、sCD1dによるNKT細胞の増殖反応とサイトカイン産生について検討する。[結果](1)RA患者では健常人に比べて血漿中のsCD1dタンパク量は、低い傾向にあった。(2)sCD1dタンパク濃度依存的にNKT細胞の細胞増殖反応を抑制し、IL-4産生が減少する傾向がみられた。[考察]sCD1dにはNKT細胞を抑制する働きがある可能性が考えられた。今後は、RA患者におけるsCD1d蛋白の関節炎に対する機能解析を進めていく。
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ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.35.0.81.0