高齢者大腸癌患者におけるプレサルコペニアの臨床的特徴
背景サルコペニアは,加齢に伴う骨格筋量の減少と筋力を含む全身の運動機能低下と定義され,骨格筋量減少のみ認めるものはプレサルコペニア(PS)と定義されている.今回,75歳以上の高齢者大腸癌手術症例を対象に,PSの臨床的特徴について後方視的に解析を行った.結果高齢者大腸癌症例131例のうち,33例がPS群に,98例が非PS群に層別化された.手術時間と出血量は両群間で差はなかったが,術後合併症はPS群で多かった(P=0.051).また,PS群はAlb値が低く,CRP-Alb比(CAR)は高い傾向にあった(Alb:P=0.069,CAR:P=0.069).さらにPS群は好中球-リンパ球比(NLR)が高...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 193 - 198 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本大腸肛門病学会
2024
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.77.193 |
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Summary: | 背景サルコペニアは,加齢に伴う骨格筋量の減少と筋力を含む全身の運動機能低下と定義され,骨格筋量減少のみ認めるものはプレサルコペニア(PS)と定義されている.今回,75歳以上の高齢者大腸癌手術症例を対象に,PSの臨床的特徴について後方視的に解析を行った.結果高齢者大腸癌症例131例のうち,33例がPS群に,98例が非PS群に層別化された.手術時間と出血量は両群間で差はなかったが,術後合併症はPS群で多かった(P=0.051).また,PS群はAlb値が低く,CRP-Alb比(CAR)は高い傾向にあった(Alb:P=0.069,CAR:P=0.069).さらにPS群は好中球-リンパ球比(NLR)が高値であった(P=0.002).結語高齢者大腸癌のPS手術症例は,術後合併症の発生が多い傾向にあった.術前にPSを診断することで,術後合併症ハイリスク群のスクリーニングとして有用となる可能性が示唆された.また,高齢者大腸癌のPS手術症例はCARやNLRなどの術前炎症関連因子との関連も示唆された. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.77.193 |