下顎リンパ節に転移を認めた下顎歯肉癌の1例

口腔癌の頸部リンパ節への転移様相は亜部位別に異なるが,顎下部や上内深頸領域を含む頸部リンパ節に転移を認めることが多く,通常では郭清範囲外である舌リンパ節,舌骨傍領域リンパ節,頰リンパ節および下顎リンパ節に転移を認めることは少ない.その中でも,下顎リンパ節転移は非常に稀である.今回,われわれは下顎リンパ節に転移を認めた下顎歯肉癌の1例を経験したため報告する.症例は78歳の女性で,抜歯窩治癒不全を主訴に当センターを受診した.右側下顎臼歯部歯肉に25×18mm大の潰瘍を伴う硬結を認めた.CTおよびMRIでは,右側下顎臼歯部に下顎骨に浸潤する腫瘍を認め,この腫瘍の頰側に接して腫大したリンパ節を認めた....

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 77; no. 2; pp. 220 - 225
Main Authors 江川, 峻哉, 勝田, 秀行, 櫛橋, 幸民, 宮崎, 裕明, 倉澤, 侑也, 池田, 賢一郎, 齊藤, 芳郎, 嶋根, 俊和, 佐藤, 仁, 代田, 達夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2017
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.77.220

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Summary:口腔癌の頸部リンパ節への転移様相は亜部位別に異なるが,顎下部や上内深頸領域を含む頸部リンパ節に転移を認めることが多く,通常では郭清範囲外である舌リンパ節,舌骨傍領域リンパ節,頰リンパ節および下顎リンパ節に転移を認めることは少ない.その中でも,下顎リンパ節転移は非常に稀である.今回,われわれは下顎リンパ節に転移を認めた下顎歯肉癌の1例を経験したため報告する.症例は78歳の女性で,抜歯窩治癒不全を主訴に当センターを受診した.右側下顎臼歯部歯肉に25×18mm大の潰瘍を伴う硬結を認めた.CTおよびMRIでは,右側下顎臼歯部に下顎骨に浸潤する腫瘍を認め,この腫瘍の頰側に接して腫大したリンパ節を認めた.さらに,右側顎下部および上内深頸領域にも腫大したリンパ節を認めた.右側下顎歯肉腫瘍からの擦過細胞診ではclassⅤであり,右側顎下リンパ節からの穿刺吸引細胞診ではclassⅣであり扁平上皮癌を強く疑った.右側下顎歯肉癌(cT2N2bM0,StageⅣA)と診断し,下顎区域切除術,頸部郭清術を施行したが,咀嚼筋間隙および頸部に再発し術後5か月で原病死した.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.77.220