健康人の性・年齢別最大酸素摂取量 (VO2max) 基準域およびVO2max判定指標―反復切断法によるVO2max基準域の設定
既存の最大酸素摂取量 (VO2max) の判定基準は軍人やスポーツ選手など十分に身体鍛錬を積んだ者を対象に設定された.しかし, 現在VO2maxは健康関連体力要素の1つとして, 幼若者から高年齢者に到るまで広く普及している.従って, それらの者に適用できるVO2max判定基準およびその臨界値が求められる. 本研究では, 8~82歳までの健康男女548名を対象に, トレッドミルによる負荷漸増運動を課し任意の最大酸素摂取量 (VO2max) を実測した.任意のVO2max値を年齢回帰させ, 年齢予測VO2max値を算出し, 実測VO2max×100/年齢予測VO2maxの式から%VO2max値を求...
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| Published in | 体力科学 Vol. 52; no. 5; pp. 585 - 598 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人日本体力医学会
2003
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| ISSN | 0039-906X 1881-4751 |
| DOI | 10.7600/jspfsm1949.52.585 |
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| Summary: | 既存の最大酸素摂取量 (VO2max) の判定基準は軍人やスポーツ選手など十分に身体鍛錬を積んだ者を対象に設定された.しかし, 現在VO2maxは健康関連体力要素の1つとして, 幼若者から高年齢者に到るまで広く普及している.従って, それらの者に適用できるVO2max判定基準およびその臨界値が求められる. 本研究では, 8~82歳までの健康男女548名を対象に, トレッドミルによる負荷漸増運動を課し任意の最大酸素摂取量 (VO2max) を実測した.任意のVO2max値を年齢回帰させ, 年齢予測VO2max値を算出し, 実測VO2max×100/年齢予測VO2maxの式から%VO2max値を求め, その度数分布図に反復切断法を適用し, VO2max基準域 (X-1.96SD~X+1.96SD, 70%~130%VO2max) を設定した.この範囲の平均値をVO2max基準値, 下位10%に相当する値を臨界値とし, いずれも実測値に変換し5歳毎の平均値として男女別に提示した.次いで, 70%~130%VO2max範囲の生理・生化学的指標 (HRmax, DPmax, RRmax, %△PVmaxおよびbLAmax) を, %VO2max値算出法に基づき%表示した.%表示された各指標の度数分布図の下位10%に相当する値を, VO2max値として採択し得る限界値 (臨界値) とし, 実測値に変換し5歳毎の平均値として男女別に提示した.最後に70%VO2max以上の領域を占めた各被験者の値をVO2maxと認定 (男性224名, 女性283名) し, 各生理・生化学的指標の臨界値を単独または組み合わせ適用によるVO2maxの採択率を調べ, さらに簡便・容易性および信頼性の観点からVO2max判定指標およびそれらの組み合わせを吟味した.その結果, 単独適用した場合の採択率が最も高いのはHRmaxであり, 男性の臨界値92.1%, 女性の値91.0%HRmaxを適用し, それぞれ92.9%および91.2%の採択率が示された.次いで, 簡便・容易で信憑性の高い組み合わせは, HRmaxとbLAmaxの両方の臨界値を同時に満たした場合で, 男性では82.6%, 女性は80.6%の採択率であった. 本研究によって, 反復切断法と従来の判定基準適用によるVO2max値との間に有意差のないことが確認され, 反復切断法による性・年齢別VO2maxの基準値および臨界値が提示された.さらに, 簡便で信憑性の高いVO2max判定指標としてHRmaxおよびbLAmaxの臨界値が提示され, 性・年齢別臨界値の適用が奨められた. |
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| ISSN: | 0039-906X 1881-4751 |
| DOI: | 10.7600/jspfsm1949.52.585 |