動的膝伸展運動における運動強度と大腿直筋の酸素動態の関係について

本研究はスポーツ活動の中でも重要な運動の一つである膝伸展運動を異なる強度で行い, 運動強度と活動筋の酸素動態の関係について検討した.被験者は健常な成人男性6名であり, 膝関節角度90度において右脚の等尺性最大随意収縮力 (MVC) を測定した.そして, 測定された値の30%, 20%および10%MVCの負荷を設定し, 膝伸展運動を疲労困憊まで行った.膝伸展運動中の大腿直筋に近赤外分光装置を固定し運動中および運動後の筋酸素動態を観察した.さらに, 膝伸展運動中の大腿直筋に表面電極を貼付し筋電図積分値 (IEMG) を導出した. 本研究によって得られた結果は以下に示すものである. 1) 各強度にお...

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Published in体力科学 Vol. 49; no. 1; pp. 203 - 210
Main Authors 岡本, 孝信, 増原, 光彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本体力医学会 2000
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ISSN0039-906X
1881-4751
DOI10.7600/jspfsm1949.49.203

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Summary:本研究はスポーツ活動の中でも重要な運動の一つである膝伸展運動を異なる強度で行い, 運動強度と活動筋の酸素動態の関係について検討した.被験者は健常な成人男性6名であり, 膝関節角度90度において右脚の等尺性最大随意収縮力 (MVC) を測定した.そして, 測定された値の30%, 20%および10%MVCの負荷を設定し, 膝伸展運動を疲労困憊まで行った.膝伸展運動中の大腿直筋に近赤外分光装置を固定し運動中および運動後の筋酸素動態を観察した.さらに, 膝伸展運動中の大腿直筋に表面電極を貼付し筋電図積分値 (IEMG) を導出した. 本研究によって得られた結果は以下に示すものである. 1) 各強度における運動時間は運動強度の増加にともない減少し, 10%MVCに対して20%MVCおよび30%MVCにおいて有意差が認められた (p<0.001) . 2) 運動中の酸素化ヘモグロビン.の酸素化レベルの最低値は運動強度の増加とともに低値を示し, 各強度間において有意差が認められた (p<0.001, p<0.05) . 3) 各強度における回復時間は運動強度の増加とともに遅くなる傾向が認められ, 10%MVCと30%MVC, 20%MVCと30%MVCの間にそれぞれ有意差が認められた (p<0.01) . 4) 各強度におけるIEMGは, 運動を行うに連れて上昇を示し, 運動終了直前に最高値を記録した.また, 各強度におけるIEMGの増加率は運動強度の低い10%MVCにおいて高く, 次いで20%MVC, 30%MVCの順であった. 以上の結果から, 膝伸展運動時における酸素動態は運動強度の増加にともない低下し, 運動の持続時間に影響を与えていることが明らかになった.
ISSN:0039-906X
1881-4751
DOI:10.7600/jspfsm1949.49.203