頸部膿瘍を反復した耳下腺鰓原性嚢胞の1例

鰓原性嚢胞は胎生期の鰓溝性組織の遺残から発生し,比較的稀な疾患である.今回われわれは反復性の頸部膿瘍に対して耳下腺管造影により耳下腺管から交通する嚢胞性疾患が判明し,病理組織学的所見から嚢胞壁に線毛円柱上皮を認め鰓原性嚢胞と診断した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は13歳の男児で幼少期より左耳下部腫脹を繰り返していた.X年に近医より内服治療にて改善しないため当科を紹介され受診した.頸部造影CT検査にて左耳下部に膿瘍形成を認め,保存的治療にて改善したが約1年間で5回の膿瘍形成を繰り返した.原因検索目的で耳下腺管造影を施行したところ耳下腺管と交通する嚢胞性病変を認めた.小児の頸部膿...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 462 - 466
Main Authors 齋藤, 芳郎, 櫛橋, 幸民, 池田, 賢一郎, 江川, 峻哉, 倉澤, 侑也, 北嶋, 達也, 鴨志田, 慎之助, 嶋根, 俊和, 藤居, 直和, 勝田, 秀行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2017
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.77.462

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Summary:鰓原性嚢胞は胎生期の鰓溝性組織の遺残から発生し,比較的稀な疾患である.今回われわれは反復性の頸部膿瘍に対して耳下腺管造影により耳下腺管から交通する嚢胞性疾患が判明し,病理組織学的所見から嚢胞壁に線毛円柱上皮を認め鰓原性嚢胞と診断した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は13歳の男児で幼少期より左耳下部腫脹を繰り返していた.X年に近医より内服治療にて改善しないため当科を紹介され受診した.頸部造影CT検査にて左耳下部に膿瘍形成を認め,保存的治療にて改善したが約1年間で5回の膿瘍形成を繰り返した.原因検索目的で耳下腺管造影を施行したところ耳下腺管と交通する嚢胞性病変を認めた.小児の頸部膿瘍の原因として頸部リンパ節からの炎症が多いが,反復する耳下部の膿瘍には鰓原性嚢胞が鑑別として挙げられる.瘻管がはっきりと認められない場合は本症例のように耳下腺管造影と造影後のCT検査が有用であると考えられた.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.77.462