2004年インド洋大津波後の津波堆積物研究の課題と展望

2004年インド洋大津波の直後,各国の調査団によって津波堆積物に関する調査が実施された.そして,浅海域や潮間帯での津波の影響や,津波によって陸上の津波堆積物がどのように形成されるのか,その後地層中にどのように埋没していくかなど,新たな知見が多く得られた.一方,緊急調査が効率的かつ相補的に行われていないこともあり,津波直後に取るべきデータが十分に得られたとは言いがたい.また,2004年インド洋大津波によって形成された津波堆積物を調べることで新たに分かった問題点や,解決できなかった点も多々ある.例えば,津波堆積物特有の堆積学的特徴とは何か,津波の水理量と津波堆積物形成過程にはどのような関係があるの...

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Published in地質学雑誌 Vol. 114; no. 12; pp. 599 - 617
Main Authors 藤野, 滋弘, 後藤, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 15.12.2008
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.114.599

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Summary:2004年インド洋大津波の直後,各国の調査団によって津波堆積物に関する調査が実施された.そして,浅海域や潮間帯での津波の影響や,津波によって陸上の津波堆積物がどのように形成されるのか,その後地層中にどのように埋没していくかなど,新たな知見が多く得られた.一方,緊急調査が効率的かつ相補的に行われていないこともあり,津波直後に取るべきデータが十分に得られたとは言いがたい.また,2004年インド洋大津波によって形成された津波堆積物を調べることで新たに分かった問題点や,解決できなかった点も多々ある.例えば,津波堆積物特有の堆積学的特徴とは何か,津波の水理量と津波堆積物形成過程にはどのような関係があるのか,海底下でどのように津波堆積物が形成されるのか,などといった点である.将来,こうした点を解決するためには,津波直後に分野を問わず研究者間で連携し,効率的かつ相補的なデータ収集を行っていく必要がある.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.114.599