新膀胱造設術後の上行結腸癌に対し術中ICG蛍光法および体腔内再建が有用であった1例

症例は74歳の男性.9年前に膀胱癌に対して膀胱全摘,回腸代用新膀胱造設術を受け,以降6ヵ月毎に腹部CTフォローを施行されていた.手術から9年後の腹部CTで上行結腸の壁肥厚を認め,上行結腸癌の診断で腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.回腸腸間膜の処理に伴う新膀胱の虚血の可能性を考慮し,術中Indocyanine green(以下,ICG)蛍光法を用いて新膀胱への血流が保たれていることを確認した.また,本症例では終末回腸は骨盤壁と広範囲に強固に癒着しており,腸管の体外への牽引が困難であったことから体腔内再建を行った.術後4日目に尿路感染症を発症したが,抗生剤加療にて軽快し,術後18日目に退院した.新膀...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 193 - 197
Main Authors 竹山, 廣志, 田口, 司, 鈴木, 陽三, 清水, 潤三, 冨田, 尚裕, 能浦, 真吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.193

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Summary:症例は74歳の男性.9年前に膀胱癌に対して膀胱全摘,回腸代用新膀胱造設術を受け,以降6ヵ月毎に腹部CTフォローを施行されていた.手術から9年後の腹部CTで上行結腸の壁肥厚を認め,上行結腸癌の診断で腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.回腸腸間膜の処理に伴う新膀胱の虚血の可能性を考慮し,術中Indocyanine green(以下,ICG)蛍光法を用いて新膀胱への血流が保たれていることを確認した.また,本症例では終末回腸は骨盤壁と広範囲に強固に癒着しており,腸管の体外への牽引が困難であったことから体腔内再建を行った.術後4日目に尿路感染症を発症したが,抗生剤加療にて軽快し,術後18日目に退院した.新膀胱造設術後の大腸癌手術時に術中ICG蛍光法を用いることで,新膀胱の血流が維持できていることが確認でき,安全に手術を施行し得た症例を経験したので報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.193