タイ地域高齢者における転倒要因に関する分析
本研究の目的は,タイ国バーンシートン市における60歳以上の高齢者の転倒率とその要因を明らかにすることであった.対象はノンタブリー県バンクルアイ郡バーンシートン市に在住する60歳以上の高齢者75名(男性:23名,女性:52名)とした.対象者の年齢の平均は70.7歳であった.方法として,転倒や運動機能に関するアンケートに加え,身体機能の測定や運動機能の評価を実施した.統計解析として,転倒率および社会人口学的要因における記述統計量を算出した.さらに,転倒経験の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を実施し,転倒の有無に関連する要因を分析した.統計学的有意水準は5%未満とした.本研究の結果,高齢者...
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| Published in | 保健医療学雑誌 Vol. 13; no. 2; pp. 54 - 61 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
保健医療学学会
01.10.2022
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 2185-0399 |
| DOI | 10.15563/jalliedhealthsci.13.54 |
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| Summary: | 本研究の目的は,タイ国バーンシートン市における60歳以上の高齢者の転倒率とその要因を明らかにすることであった.対象はノンタブリー県バンクルアイ郡バーンシートン市に在住する60歳以上の高齢者75名(男性:23名,女性:52名)とした.対象者の年齢の平均は70.7歳であった.方法として,転倒や運動機能に関するアンケートに加え,身体機能の測定や運動機能の評価を実施した.統計解析として,転倒率および社会人口学的要因における記述統計量を算出した.さらに,転倒経験の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を実施し,転倒の有無に関連する要因を分析した.統計学的有意水準は5%未満とした.本研究の結果,高齢者の下肢機能を総合的に評価するShort Physical Performance Batteryでは,50%以上が9点以下であった.また,対象者のうち転倒経験者は35名(46.7%)であった.転倒の発生場所は屋内の方が屋外よりも高い割合であった.転倒と独立変数との関連では,「膝・腰の痛み(オッズ比=5.08 and 6.40, p<0.05)」,「立ち上がり能力(オッズ比=4.10, p<0.05)」,「握力(オッズ比=0.83, p<0.05)」,「転倒恐怖感(オッズ比=2.22, p<0.05)」が統計学的に有意な変数として抽出された.これらの結果は,転倒要因に関する詳細なアセスメントおよび介入方法の検討が転倒予防に寄与するということを示唆している. |
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| ISSN: | 2185-0399 |
| DOI: | 10.15563/jalliedhealthsci.13.54 |