肛門管扁平上皮癌17例における化学放射線療法の治療成績について

欧米では肛門管扁平上皮癌に対する標準治療は化学放射線療法(CRT)とされているが,本邦ではCRTの治療成績についての報告は少ない.当科では2008年1月からCRTを標準療法としており,2019年2月までに肛門管扁平上皮癌と診断した17例に対するCRTの短期・長期治療成績を検討した.Grade3以上の有害事象は,骨髄抑制(47.1%),下痢(5.9%),放射線性皮膚炎(53.0%)であった.13例は無再発であったが4例で局所再発を認めた.4例中3例にはサルベージ手術を1例には組織内照射を行い,2例は現在も無再発生存中である.局所再発を認めた2例はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を合併しており,...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 5; pp. 218 - 222
Main Authors 高橋, 佑典, 三宅, 正和, 宮崎, 道彦, 三代, 雅明, 楠, 誓子, 加藤, 健志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.218

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Summary:欧米では肛門管扁平上皮癌に対する標準治療は化学放射線療法(CRT)とされているが,本邦ではCRTの治療成績についての報告は少ない.当科では2008年1月からCRTを標準療法としており,2019年2月までに肛門管扁平上皮癌と診断した17例に対するCRTの短期・長期治療成績を検討した.Grade3以上の有害事象は,骨髄抑制(47.1%),下痢(5.9%),放射線性皮膚炎(53.0%)であった.13例は無再発であったが4例で局所再発を認めた.4例中3例にはサルベージ手術を1例には組織内照射を行い,2例は現在も無再発生存中である.局所再発を認めた2例はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を合併しており,ともに予後不良であった.3年無病生存率は76.5%,3年全生存率は88.2%であった.肛門管扁平上皮癌に対するCRTは安全に施行可能であり,長期成績についても認容される結果であることが示唆された.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.218