高度の直腸狭窄をきたした腸管子宮内膜症の1例

症例は49歳,女性.47歳時に子宮腺筋症・子宮筋腫で子宮全摘術が施行された.2年後に便の狭小化を主訴に前医を受診し,精査で直腸子宮内膜症が疑われ当院紹介となった.明らかな月経随伴症状は認めず,下部消化管内視鏡検査で直腸S状部に大腸内視鏡が通過不可能な全周性の狭窄を認め,生検ではGroup1であった.腹部CT検査では直腸の狭窄部は描出されなかった.血液検査ではCA19-9とCA125が高値であった.腸管狭窄症状が改善しないため,開腹下高位前方切除術および両側付属器摘出術を施行した.病理組織学的検査では直腸の固有筋層から漿膜層にかけて異所性の子宮内膜組織を認め,腸管子宮内膜症と診断した.術後経過は...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 3; pp. 117 - 121
Main Authors 辻尾, 元, 宮本, 裕成, 内間, 恭武, 青松, 直撥, 岡田, 拓真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2019
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.72.117

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Summary:症例は49歳,女性.47歳時に子宮腺筋症・子宮筋腫で子宮全摘術が施行された.2年後に便の狭小化を主訴に前医を受診し,精査で直腸子宮内膜症が疑われ当院紹介となった.明らかな月経随伴症状は認めず,下部消化管内視鏡検査で直腸S状部に大腸内視鏡が通過不可能な全周性の狭窄を認め,生検ではGroup1であった.腹部CT検査では直腸の狭窄部は描出されなかった.血液検査ではCA19-9とCA125が高値であった.腸管狭窄症状が改善しないため,開腹下高位前方切除術および両側付属器摘出術を施行した.病理組織学的検査では直腸の固有筋層から漿膜層にかけて異所性の子宮内膜組織を認め,腸管子宮内膜症と診断した.術後経過は良好で,術後9日目に退院となった.腸管子宮内膜症の病変は粘膜下層以深に存在することが多く,生検による術前診断は困難である.今回高度の直腸狭窄をきたした腸管子宮内膜症の1例を経験したので,文献的考察も加え報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.72.117