腹腔鏡下結腸切除後に門脈血栓症を併発したS状結腸癌の1例

症例は63歳の女性で,cT3N0M0,cStageIIaのS状結腸癌に対して腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.術後10日目に38℃台の発熱と腹痛が出現し,血液検査でD-ダイマーと肝酵素の上昇を認めた.造影CT検査を施行したところ,門脈左右本幹に造影欠損を認め,門脈血栓症と診断した.初期療法としてヘパリンの持続投与を行い,術後15日目の造影CT検査で門脈血栓が著明に縮小していることを確認した.維持療法としてエドキサバンの内服に切り替え,術後19日目に退院となり,術後1ヵ月に門脈血栓の消失を確認した.近年,大腸癌の腹腔鏡手術後に門脈血栓を併発した症例報告が散見されるが,術後に発熱,腹痛,肝酵素の上...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 291 - 296
Main Authors 西居, 孝文, 福井, 康裕, 黒田, 顕慈, 青松, 直撥, 日月, 亜紀子, 前田, 清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.291

Cover

More Information
Summary:症例は63歳の女性で,cT3N0M0,cStageIIaのS状結腸癌に対して腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.術後10日目に38℃台の発熱と腹痛が出現し,血液検査でD-ダイマーと肝酵素の上昇を認めた.造影CT検査を施行したところ,門脈左右本幹に造影欠損を認め,門脈血栓症と診断した.初期療法としてヘパリンの持続投与を行い,術後15日目の造影CT検査で門脈血栓が著明に縮小していることを確認した.維持療法としてエドキサバンの内服に切り替え,術後19日目に退院となり,術後1ヵ月に門脈血栓の消失を確認した.近年,大腸癌の腹腔鏡手術後に門脈血栓を併発した症例報告が散見されるが,術後に発熱,腹痛,肝酵素の上昇を認めた場合は,当疾患も想起して診療にあたることが肝要であると考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.291