ミクリッツ病の一症例

(症例)40歳、男(主訴)眼瞼、下顎の腫脹(家族歴)父;Parkinson病(既往歴)25歳;右停留精巣手術(現病歴)2006年6月頃、周囲に両眼瞼の腫脹を指摘されるようになった。8月、近医(眼科)で結膜炎として診断されたされたが症状は改善せず、この頃より徐々に両下顎の腫脹も来すようになった。9月当院眼科初診。ドライアイはなく、ドライマウスを認めた。抗SS-A抗体(-)、抗SS-B抗体(-)、ACE8.8IU/L、胸部レントゲン異常、全身Gaシンチでは両側涙腺、両側顎下腺、顔面正中のみに集積を認めた。唾液腺シンチではやや描出が弱いものの唾液腺に集積を認め、顎下腺生検では炎症細胞浸潤が認められた...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 35; p. 93
Main Authors 砂田, 真澄, 小林, 正弥, 杉田, 亮, 久保, 裕司, 竹内, 孝男, 長野, 宏昭, 柏井, 聡, 伊藤, 能永, 大野, 覚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2007
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.35.0.93.0

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Summary:(症例)40歳、男(主訴)眼瞼、下顎の腫脹(家族歴)父;Parkinson病(既往歴)25歳;右停留精巣手術(現病歴)2006年6月頃、周囲に両眼瞼の腫脹を指摘されるようになった。8月、近医(眼科)で結膜炎として診断されたされたが症状は改善せず、この頃より徐々に両下顎の腫脹も来すようになった。9月当院眼科初診。ドライアイはなく、ドライマウスを認めた。抗SS-A抗体(-)、抗SS-B抗体(-)、ACE8.8IU/L、胸部レントゲン異常、全身Gaシンチでは両側涙腺、両側顎下腺、顔面正中のみに集積を認めた。唾液腺シンチではやや描出が弱いものの唾液腺に集積を認め、顎下腺生検では炎症細胞浸潤が認められた。2007年2月精査、加療のためリウマチ・膠原病内科に入院。当初からシェーグレン症候群は否定的であり、血清IgG4が異常高値で、腎生検で後腹膜線維症の存在が明らかとなり、腹部超音波、CTで自己免疫性膵炎を疑う所見を得た。この時点でミクリッツ病と診断した。ステロイド剤の開始により、諸症状、所見は著明に軽快した。本例の病態は、涙腺・唾液腺・後腹膜にIgG4陽性形質細胞浸潤を来たした、いわゆるIgG4関連全身性疾患であると考えられ、そうした疾患に関しての文献的考察を試みたい。
Bibliography:46
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.35.0.93.0