回盲部原発の神経内分泌癌の1例
症例は60歳代の男性で,腹痛,嘔吐を主訴に当科受診した.腹部造影CTで盲腸と連続した80×65×60mmの腫瘤,多発肝転移と腹膜播種を認めた.回盲部腫瘤を起点として腸閉塞を認めた.経鼻イレウス管留置後,第6病日に双孔式回腸人工肛門造設術+腫瘍生検を施行した.病理検査所見では,N/C比の高い腫瘍細胞を認め,上皮性マーカー,神経内分泌マーカーが陽性であり,神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma;NEC)と診断された.以後,大腸癌治療ガイドラインに準じFOLFOX+bevacizumab療法を施行したが奏効せず,初診より122日目に原病死した.大腸原発のNECは比較的稀で,予...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 2; pp. 65 - 70 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2019
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.72.65 |
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Summary: | 症例は60歳代の男性で,腹痛,嘔吐を主訴に当科受診した.腹部造影CTで盲腸と連続した80×65×60mmの腫瘤,多発肝転移と腹膜播種を認めた.回盲部腫瘤を起点として腸閉塞を認めた.経鼻イレウス管留置後,第6病日に双孔式回腸人工肛門造設術+腫瘍生検を施行した.病理検査所見では,N/C比の高い腫瘍細胞を認め,上皮性マーカー,神経内分泌マーカーが陽性であり,神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma;NEC)と診断された.以後,大腸癌治療ガイドラインに準じFOLFOX+bevacizumab療法を施行したが奏効せず,初診より122日目に原病死した.大腸原発のNECは比較的稀で,予後不良な組織型である.治療ガイドラインは確立していないが,手術と化学療法をあわせた集学的治療が必要とされる.多発性肝転移,腸閉塞を呈した回盲部原発のNECを経験したので文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.72.65 |