異時性会陰皮下転移を呈した直腸癌の1例
56歳,女性.下血を主訴に受診された.下部消化管内視鏡検査で直腸S状部に2型病変を認め,造影CT検査で右卵巣転移が疑われた.高位前方切除術,D3郭清,右付属器切除術を行った.病理学的所見は2型,中分化型腺癌,pT3N0M0,Ly1,V1,pStageIIaで卵巣転移は認めなかった.術後補助化学療法を行ったが,術後9ヵ月からCEA値の上昇,造影CT検査で右会陰皮下転移を認めた.生検で腺癌を認め,他に転移がないことから右会陰部腫瘍摘出術を行った.病理学的所見は中分化腺癌で,直腸癌からの会陰部皮下転移と診断した.術後補助化学療法を行い,術後2年3ヵ月現在,無再発生存中である.大腸癌からの会陰部への転...
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| Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 76; no. 1; pp. 22 - 26 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本大腸肛門病学会
2023
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
| DOI | 10.3862/jcoloproctology.76.22 |
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| Summary: | 56歳,女性.下血を主訴に受診された.下部消化管内視鏡検査で直腸S状部に2型病変を認め,造影CT検査で右卵巣転移が疑われた.高位前方切除術,D3郭清,右付属器切除術を行った.病理学的所見は2型,中分化型腺癌,pT3N0M0,Ly1,V1,pStageIIaで卵巣転移は認めなかった.術後補助化学療法を行ったが,術後9ヵ月からCEA値の上昇,造影CT検査で右会陰皮下転移を認めた.生検で腺癌を認め,他に転移がないことから右会陰部腫瘍摘出術を行った.病理学的所見は中分化腺癌で,直腸癌からの会陰部皮下転移と診断した.術後補助化学療法を行い,術後2年3ヵ月現在,無再発生存中である.大腸癌からの会陰部への転移は極めてまれである.皮膚・皮下転移は予後不良とされているが,切除することで長期予後を得られる症例もあるため積極的に切除を考慮すべきと考えられた. |
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| ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
| DOI: | 10.3862/jcoloproctology.76.22 |