大腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻に対する当科手術治療成績の検討

【目的】食事の欧米化などにより,比較的まれな疾患であったS状結腸膀胱瘻を診療する機会が増えてきている.従来は開腹での結腸・膀胱部分切除が施行されていたが,近年腹腔鏡での手術も報告されている.当科におけるS状結腸膀胱瘻に対する腹腔鏡下手術の安全性を明らかにする.【方法】2011年から2021年までに当科で施行した大腸憩室によるS状結腸膀胱瘻手術16例を対象とし,開腹(9例)と腹腔鏡(7例)手術での治療成績について検討を行った.【結果】手術時間および術後膀胱カテーテル留置期間は,両群間で差は認められなかった.一方,腹腔鏡手術では有意に術中出血量が少なく(p<0.01),術後入院日数も短かった(p=...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 77; no. 2; pp. 63 - 69
Main Authors 小山, 能徹, 菅野, 宏, 武田, 泰裕, 小菅, 誠, 衛藤, 謙, 下山, 雄也, 吉岡, 聡, 大熊, 誠尚, 岡本, 敦子, 中野, 貴文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本大腸肛門病学会 2024
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.77.63

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Summary:【目的】食事の欧米化などにより,比較的まれな疾患であったS状結腸膀胱瘻を診療する機会が増えてきている.従来は開腹での結腸・膀胱部分切除が施行されていたが,近年腹腔鏡での手術も報告されている.当科におけるS状結腸膀胱瘻に対する腹腔鏡下手術の安全性を明らかにする.【方法】2011年から2021年までに当科で施行した大腸憩室によるS状結腸膀胱瘻手術16例を対象とし,開腹(9例)と腹腔鏡(7例)手術での治療成績について検討を行った.【結果】手術時間および術後膀胱カテーテル留置期間は,両群間で差は認められなかった.一方,腹腔鏡手術では有意に術中出血量が少なく(p<0.01),術後入院日数も短かった(p=0.04).術後合併症は腹腔鏡1例,開腹5例で認めたが,有意差は認めなかった(p=0.09).【結語】大腸憩室によるS状結腸膀胱瘻に対する腹腔鏡手術は,低侵襲で安全に施行可能と考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.77.63