脳卒中後の肺塞栓症

要旨:急性期脳卒中患者で肺塞栓症(PE)と診断された27例を対象とし,その臨床的特徴を検討した.原疾患は脳梗塞12例(0.25%),脳出血12例(0.94%),くも膜下出血(SAH)3例(0.59%)であり,死亡はそれぞれ3例(25%),3例(25%),1例(33%)であった.入院時NIHSSの中央値(四分位置)は脳梗塞で13.0(10.0~21.5),脳出血で17.5(16.0~23.3)とばらつきが多いが比較的高値であった.PE発症の中央値は8日から13.5日であった.発症時神経学的にはSAHは運動麻痺を認めていなかったが,脳出血,脳梗塞ではいずれも麻痺の強い症例に多く,日常生活動作レベル...

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Published in脳卒中 Vol. 35; no. 1; pp. 5 - 11
Main Authors 佐々木, 正弘, 岡田, 健, 中瀬, 泰然, 吉岡, 正太郎, 鈴木, 明文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.01.2013
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.35.5

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Summary:要旨:急性期脳卒中患者で肺塞栓症(PE)と診断された27例を対象とし,その臨床的特徴を検討した.原疾患は脳梗塞12例(0.25%),脳出血12例(0.94%),くも膜下出血(SAH)3例(0.59%)であり,死亡はそれぞれ3例(25%),3例(25%),1例(33%)であった.入院時NIHSSの中央値(四分位置)は脳梗塞で13.0(10.0~21.5),脳出血で17.5(16.0~23.3)とばらつきが多いが比較的高値であった.PE発症の中央値は8日から13.5日であった.発症時神経学的にはSAHは運動麻痺を認めていなかったが,脳出血,脳梗塞ではいずれも麻痺の強い症例に多く,日常生活動作レベルはベッド上が77.8%であった.過去の報告と比べてPEの発症率はほぼ横ばいであった.PEは抗血栓療法を行いにくい脳出血の方が高頻度であった.死亡率は依然高値であり,麻痺の重度な症例は入院後早期からの予防対策を考える必要がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.35.5