自己愛傾向の一般青年群と臨床群の比較の試み

「問題と目的」自己愛が病理的であるのか否かは, 古くから議論の対象とされてきた. 近年では, 自己愛が必ずしも何らかの病理をもたらすものではなく, 正常な精神構造においても重要な役割を担うものであるという考え方が広まっている. またPulver(1970)が健康な自己愛と病理的な自己愛を分類しているように, 自己愛の中には比較的健康な側面と病理に近い側面があると考えられる. 必ずしも病理を意味しない, 正常な人格特性としての自己愛傾向に注目した調査的研究はこれまでに数多く行われている. そして自己愛人格目録(Narcissistic Personality Inventory:NPI;Rask...

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Published in性格心理学研究 Vol. 11; no. 1; pp. 56 - 57
Main Authors 小塩, 真司, 井上, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 2002
日本性格心理学会
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ISSN1345-3629
2432-695X
DOI10.2132/jjpjspp.11.1_56

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Summary:「問題と目的」自己愛が病理的であるのか否かは, 古くから議論の対象とされてきた. 近年では, 自己愛が必ずしも何らかの病理をもたらすものではなく, 正常な精神構造においても重要な役割を担うものであるという考え方が広まっている. またPulver(1970)が健康な自己愛と病理的な自己愛を分類しているように, 自己愛の中には比較的健康な側面と病理に近い側面があると考えられる. 必ずしも病理を意味しない, 正常な人格特性としての自己愛傾向に注目した調査的研究はこれまでに数多く行われている. そして自己愛人格目録(Narcissistic Personality Inventory:NPI;Raskin & Hanll, 1979)を用いた研究では, 自己愛傾向がいくつかの下位側面から構成されることが明らかにされている(例えばEmmons, 1984). さらにその下位側面のうち「他者の利用・権利の主張(Exploitativeness/Entitlement)」因子は病理的徴候と関連し, その他の因子は関連しないことが示されている(Emmons, 1987).
ISSN:1345-3629
2432-695X
DOI:10.2132/jjpjspp.11.1_56