耳鼻咽喉科領域の痛みを考える 耳痛の臨床
耳痛は耳鼻咽喉科診療においてよく遭遇する症状の一つである. 原因としては耳疾患に限らず種々の原因によって生じる. 原因による分類として以下が挙げられる. 1) 耳疾患が原因の場合: 外耳道炎, 悪性外耳道炎, 等の外耳疾患. 急性中耳炎, 真珠腫性中耳炎, ANCA 関連血管炎性中耳炎, 等の中耳疾患. 2) 耳周辺の臓器に原因疾患がある場合: 急性耳下腺炎, 流行性耳下腺炎, 等の耳下腺疾患. 顎関節症, 頸部リンパ節炎, 等のそのほかの周辺臓器による疾患. 3) その他が原因となる場合: 下顎神経, 鼓室神経, 迷走神経 (耳介枝), 顔面神経, 頸神経などが外耳, 中耳に分布しているため...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 117; no. 12; pp. 1431 - 1437 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.12.2014
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.117.1431 |
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Summary: | 耳痛は耳鼻咽喉科診療においてよく遭遇する症状の一つである. 原因としては耳疾患に限らず種々の原因によって生じる. 原因による分類として以下が挙げられる. 1) 耳疾患が原因の場合: 外耳道炎, 悪性外耳道炎, 等の外耳疾患. 急性中耳炎, 真珠腫性中耳炎, ANCA 関連血管炎性中耳炎, 等の中耳疾患. 2) 耳周辺の臓器に原因疾患がある場合: 急性耳下腺炎, 流行性耳下腺炎, 等の耳下腺疾患. 顎関節症, 頸部リンパ節炎, 等のそのほかの周辺臓器による疾患. 3) その他が原因となる場合: 下顎神経, 鼓室神経, 迷走神経 (耳介枝), 顔面神経, 頸神経などが外耳, 中耳に分布しているため, 放散痛・関連痛が生じる. 原因疾患としては急性扁桃炎, う歯, 中咽頭がん, 等が挙げられる. また器質的疾患が認められない場合は, 舌咽神経痛, 三叉神経痛, 後頭神経痛などの神経痛を考慮する. 診断のために耳痛の性状, 発症の時期や経過 (急性か慢性か) 等, 詳細な問診が必要である. また局所所見のみならず, 画像診断を含めた詳細な検査を行う. 近年, 痛みは侵害受容性疼痛, 神経障害性疼痛, 心因性疼痛の3種類に分類されており, それらによって薬剤選択が異なるため, どのような疼痛かを判断する必要がある. 持続的な耳痛, 頭痛を伴う難治性中耳炎には ANCA 関連血管炎性中耳炎, 悪性外耳道炎を考慮する. 局所所見がない耳痛は頸部 MRI 等で精査が必要である. 原因不明の疼痛にはプレガバリンを試みる. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.117.1431 |