糖尿病克服を目指した新規亜鉛錯体の開発研究に挑む
「1. はじめに」 近年, 糖尿病は世界中でその患者数が急増しており, わが国において740万人にのぼると言われている. 1, 2) さらに, 世界中の糖尿病患者数は, 2010年には3億人になるとも予測されている. 糖尿病患者の大部分を占める2型糖尿病患者の治療法は, 運動・食事療法がメインであるが, 効果が不十分な場合には薬物療法が行われている. しかし, 薬物療法には低血糖等の副作用があり, 血糖コントロールが困難になるケースが多い. 亜鉛はヒトの体内に約2g存在しており, 新陳代謝の促進, 味覚の正常化, 脳の機能維持, 免疫力の維持などの生体内ホメオスタシスに係わる必須微量元素である...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 6; pp. 925 - 930 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
2011
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.131.925 |
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Summary: | 「1. はじめに」 近年, 糖尿病は世界中でその患者数が急増しており, わが国において740万人にのぼると言われている. 1, 2) さらに, 世界中の糖尿病患者数は, 2010年には3億人になるとも予測されている. 糖尿病患者の大部分を占める2型糖尿病患者の治療法は, 運動・食事療法がメインであるが, 効果が不十分な場合には薬物療法が行われている. しかし, 薬物療法には低血糖等の副作用があり, 血糖コントロールが困難になるケースが多い. 亜鉛はヒトの体内に約2g存在しており, 新陳代謝の促進, 味覚の正常化, 脳の機能維持, 免疫力の維持などの生体内ホメオスタシスに係わる必須微量元素である. 3, 4) 亜鉛を活性中心とするタンパク質や酵素が生体内に300種類以上存在し, 2007年には亜鉛がシグナル伝達分子として作用することも明らかにされた. 5) さらに亜鉛は糖尿病と密接な関係があることが知られている. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.131.925 |