4年後に新たに別部位で生じた脊髄ヘルニアの一例

はじめに:4年後に新たに別部位で生じた脊髄ヘルニア(以下ISCH)の一例を経験したため報告する.症例:56歳男性.尿失禁と左下肢筋力低下を主訴に来院.胸椎MRIにてT2椎体レベルでの脊髄の腹側偏位,脊髄の硬膜外への脱出を疑う所見を認めたためT2椎体レベルでのISCHと診断し手術の方針とした.術中所見では脊髄の腹側硬膜外への直接脱出を認めた.脊髄ヘルニア整復後,ヘルニア孔の直接縫合を行った.その後症状改善し経過良好であったが,術後4年2ヶ月で歩行障害,左下肢の筋力低下を主訴に再受診された.MRIにてT2椎体レベルでの脊髄の腹側偏位を認め,脊髄ヘルニアの再発と考え再手術の方針とした.背側硬膜を切開...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 16; no. 7; pp. 1011 - 1016
Main Authors 足立 崇, 谷口 愼一郎, 朴 正旭, 谷 陽一, 井関 友美, 中 信裕, 川島 康輝, 石原 昌幸, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.07.2025
日本脊椎脊髄病学会
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2025-3030

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Summary:はじめに:4年後に新たに別部位で生じた脊髄ヘルニア(以下ISCH)の一例を経験したため報告する.症例:56歳男性.尿失禁と左下肢筋力低下を主訴に来院.胸椎MRIにてT2椎体レベルでの脊髄の腹側偏位,脊髄の硬膜外への脱出を疑う所見を認めたためT2椎体レベルでのISCHと診断し手術の方針とした.術中所見では脊髄の腹側硬膜外への直接脱出を認めた.脊髄ヘルニア整復後,ヘルニア孔の直接縫合を行った.その後症状改善し経過良好であったが,術後4年2ヶ月で歩行障害,左下肢の筋力低下を主訴に再受診された.MRIにてT2椎体レベルでの脊髄の腹側偏位を認め,脊髄ヘルニアの再発と考え再手術の方針とした.背側硬膜を切開すると頭尾側に広がるくも膜囊腫を認めた.前回縫合部にヘルニア孔は認めず,さらに尾側で新たな脊髄の嵌頓を認めた.脊髄を整復すると内層硬膜の欠損部から外層硬膜を認めた.内層硬膜のヘルニア孔を直接縫合し被覆材で補強し終了した.結語:本症例は初回手術後に発生したくも膜囊腫が脊髄を背側から持続的に圧排することで先天的に脆弱性のある新たな部位の腹側硬膜に欠損が生じ脊髄ヘルニアが発生したと考える.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2025-3030