組成データ解析の問題点とその解決方法

岩石・鉱物の化学組成,砕屑物の粒度組成やモード組成,生物の群集組成などで利用される組成データは変数の総量が一定であるために定数和制約を受ける.このような形式のデータを対象とした統計学的推定,検定の方法論は最近まで確立されていなかった.しかし,近年,組成データの厳密な統計学的解析方法が急激に進歩した.本論では,このような手法の1つである対数比解析と単体解析を実例を交えて紹介する.対数比解析は,組成データを単体空間から実空間に写像する方法である.単体解析は,単体空間に属する組成データに対して,新たに統計量や解析方法を開発する試みである.今後はこのような解析方法を用いて,より適切な論理的基盤から地質...

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Published in地質学雑誌 Vol. 112; no. 3; pp. 173 - 187
Main Authors 新井, 宏嘉, 太田, 亨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 2006
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.112.173

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Summary:岩石・鉱物の化学組成,砕屑物の粒度組成やモード組成,生物の群集組成などで利用される組成データは変数の総量が一定であるために定数和制約を受ける.このような形式のデータを対象とした統計学的推定,検定の方法論は最近まで確立されていなかった.しかし,近年,組成データの厳密な統計学的解析方法が急激に進歩した.本論では,このような手法の1つである対数比解析と単体解析を実例を交えて紹介する.対数比解析は,組成データを単体空間から実空間に写像する方法である.単体解析は,単体空間に属する組成データに対して,新たに統計量や解析方法を開発する試みである.今後はこのような解析方法を用いて,より適切な論理的基盤から地質学的諸現象を解析することが重要となるであろう.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.112.173