骨盤側方領域に発生した骨髄脂肪腫の1例

骨髄脂肪腫の多くは副腎由来で骨盤内発生はまれであり,骨盤側方領域に発生した報告はない.症例は52歳の女性で,尿路結石のため施行した腹部CTで右骨盤側方領域に36×34 mm大の境界明瞭・内部不均一で一部脂肪成分を含んだ腫瘤を認めた.良性腫瘍が疑われ経過観察を行ったが,1年後に腫瘍径は44×35 mmに増大し,MRIで充実部ではapparent diffusion coefficientの低下もみられ悪性の可能性が考えられた.骨盤側方リンパ節郭清に準じた手術で完全切除が可能と判断し腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した.腫瘍は辺縁平滑な40×40×20 mm大の腫瘍で,病理組織学的に副腎外骨髄脂肪腫と診断...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 12; pp. 909 - 916
Main Authors 澤井, 照光, 森山, 正章, 野中, 隆, 富永, 哲郎, 重松, 和人, 安倍, 邦子, 永安, 武, 濱崎, 景子, 日高, 重和, 福田, 明子, 橋本, 泰匡, 小山, 正三朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.12.2021
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2020.0199

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Summary:骨髄脂肪腫の多くは副腎由来で骨盤内発生はまれであり,骨盤側方領域に発生した報告はない.症例は52歳の女性で,尿路結石のため施行した腹部CTで右骨盤側方領域に36×34 mm大の境界明瞭・内部不均一で一部脂肪成分を含んだ腫瘤を認めた.良性腫瘍が疑われ経過観察を行ったが,1年後に腫瘍径は44×35 mmに増大し,MRIで充実部ではapparent diffusion coefficientの低下もみられ悪性の可能性が考えられた.骨盤側方リンパ節郭清に準じた手術で完全切除が可能と判断し腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した.腫瘍は辺縁平滑な40×40×20 mm大の腫瘍で,病理組織学的に副腎外骨髄脂肪腫と診断された.術後経過は良好で術後9日目に自宅退院した.骨髄脂肪腫は,適切な画像モダリティーによる精査や経時的な画像変化が鑑別の一助となる可能性がある.また,腹腔鏡手術の良い適応と考えられ,術前画像による適切な切除アプローチの検討が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2020.0199