小児期のリウマチ性疾患にみる発熱

発熱は炎症性疾患の存在を示唆するひとつの重要な徴候である.炎症病態の大半は感染により誘導されるが,多くの疾患の基盤に炎症が存在することも忘れてはならない.また,自己炎症症候群の病因の研究から,発熱のメカニズムへのアプローチがすすんだ.すなわち,炎症とは炎症性サイトカインのひとつの機能であり,発熱そのものもIL-1βとIL-6の協調的機能であることが基礎的研究から明らかになった.ところで,臨床場面では不明熱と診断される例は依然ある.基盤となる疾患としてリウマチ性疾患の鑑別が重要であるが,稀な感染症や良性・悪性腫瘍などもあり,最近ではFDG-PETの診断的有用性が強調されている.さらに,近年になり...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 35; no. 6; pp. 511 - 519
Main Authors 森, 雅亮, 金高, 太一, 横田, 俊平, 野澤, 智, 門田, 景介, 宮前, 多佳子, 木澤, 敏毅, 菊地, 雅子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2012
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.35.511

Cover

More Information
Summary:発熱は炎症性疾患の存在を示唆するひとつの重要な徴候である.炎症病態の大半は感染により誘導されるが,多くの疾患の基盤に炎症が存在することも忘れてはならない.また,自己炎症症候群の病因の研究から,発熱のメカニズムへのアプローチがすすんだ.すなわち,炎症とは炎症性サイトカインのひとつの機能であり,発熱そのものもIL-1βとIL-6の協調的機能であることが基礎的研究から明らかになった.ところで,臨床場面では不明熱と診断される例は依然ある.基盤となる疾患としてリウマチ性疾患の鑑別が重要であるが,稀な感染症や良性・悪性腫瘍などもあり,最近ではFDG-PETの診断的有用性が強調されている.さらに,近年になりリウマチ性疾患に対する生物学的製剤の導入がリウマチ治療にパラダイム・シフトとも言うべき変化をもたらしたが,その臨床的効果と同時に,ひとつのサイトカインの阻害が炎症全体を終息に導くことから,炎症についての考え方に与えた影響は計り知れない.さまざまな炎症,炎症病態の諸相についてさらなる検討が必要である.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.35.511