基礎心疾患を伴わない心室性期外収縮の体表面電位図による発生源の推定

明らかな基礎心疾患を有しない患者の心室性期外収縮(VPB) 100例の体表面電位図(MAP)を記録し,その発生源の推定を行なつた.またおのおののVPB発生源毎に,標準12誘導心電図の特微的所見を明らかにした.発生源の推定は,先に我々が行なつた左右心室の心内外膜の種々の心室部位のペースメーカー刺激時のMAP所見との対比によつた.対象は,男52例,女48例で,年令は3才から76才(37.0±19.5才, mean±SD)であつた. QRS MAPのパターンを9型に分類し, VPB発生源の推定を行なつた(()内:発現頻度).すなわち, I型:右室流出路(56%), II型:右脚(5%), III型:...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 73; no. 6; pp. 807 - 816
Main Authors 高見, 和秀, 小島, 春紀, 上松, 治儀, 外畑, 巌, 林, 博史, 石川, 富久, 宮地, 恭一, 矢部, 誠太郎, 大杉, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1984
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.73.807

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Summary:明らかな基礎心疾患を有しない患者の心室性期外収縮(VPB) 100例の体表面電位図(MAP)を記録し,その発生源の推定を行なつた.またおのおののVPB発生源毎に,標準12誘導心電図の特微的所見を明らかにした.発生源の推定は,先に我々が行なつた左右心室の心内外膜の種々の心室部位のペースメーカー刺激時のMAP所見との対比によつた.対象は,男52例,女48例で,年令は3才から76才(37.0±19.5才, mean±SD)であつた. QRS MAPのパターンを9型に分類し, VPB発生源の推定を行なつた(()内:発現頻度).すなわち, I型:右室流出路(56%), II型:右脚(5%), III型:右室流入路(7%), VIIR型:右室心尖部(1%), IV型:左室後基部(2%), V型:左室前側壁基部(4%), VIa型:左脚後枝(10%), VIb型:左脚前枝(11%), VIIIa型:心室中隔前上部(4%)であつた.これらのうち,右室源性は69%,左室源性は27%,中隔源性は4%であつた.年令分布では, II型, VIa型, VIb型等の特殊伝導系附近に起源を有すると考えられたVPBは,若年者に多く, IV型, V型, VIIIa型等の左室基部あるいは中隔上部起源のものは高年令者に頻度が高かつた.標準12誘導心電図において,右室源性VPBは左脚ブロック.左室源性VPBは右脚ブロック.中隔源性VPBは両脚ブロックに近いパターンを示した.また,それぞれVPB発生源に特有の電気軸を認め, QRS持続時間にもいくつかの発生源については,特徴がみられた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.73.807