肛門周囲に発生した侵襲性血管粘液腫の1例

症例は63歳,男性.肛門左側腫瘤を主訴に近医受診し,肛門腫瘍を指摘され当院紹介受診となった.肛門左側に5.5×3.5cm大の楕円形で弾性軟な腫瘤を認め,超音波, CT, MRI検査で脂肪成分と嚢胞成分が混在する腫瘍を認めた.肛門周囲脂肪肉腫を疑い,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は肛門左側皮下から肛門挙筋に接するように存在し,周囲との境界は比較的明瞭で容易に剥離摘出可能であった.術後の病理組織診断では侵襲性血管粘液腫(aggressive angiomyxoma)の診断であった.侵襲性血管粘液腫は,本邦では自験例を含め35例ほど報告されているが,若い女性の外陰部に発生することが多く,自験例のように肛...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 2; pp. 376 - 381
Main Authors 西, 八嗣, 平井, 俊男, 小野里, 航, 本告, 匡, 八十川, 要平, 高橋, 禎人
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.376

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Summary:症例は63歳,男性.肛門左側腫瘤を主訴に近医受診し,肛門腫瘍を指摘され当院紹介受診となった.肛門左側に5.5×3.5cm大の楕円形で弾性軟な腫瘤を認め,超音波, CT, MRI検査で脂肪成分と嚢胞成分が混在する腫瘍を認めた.肛門周囲脂肪肉腫を疑い,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は肛門左側皮下から肛門挙筋に接するように存在し,周囲との境界は比較的明瞭で容易に剥離摘出可能であった.術後の病理組織診断では侵襲性血管粘液腫(aggressive angiomyxoma)の診断であった.侵襲性血管粘液腫は,本邦では自験例を含め35例ほど報告されているが,若い女性の外陰部に発生することが多く,自験例のように肛門腫瘍の形態を呈し壮年男性に発生することは稀である. 本邦報告例および自験例を含め文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.376